国道41号が南北に走る岐阜県可児市西部の丘陵地にあり、愛知県犬山市とも接しています。地名の由来は二つの説があるようです。

 一つは、夏に汗取りとして着る生絹や麻布で仕立てた単衣(ひとえぎぬ)の「帷子」。古くはこの地域で作り、皇室や公卿(くぎょう)、武家に納めており、朝廷から地名を賜ったという説です。かつての帷子村歌には「古き由緒(ゆかり)の土地なれば 今はおきての絶えたれど 里の名にこそ残りけれ」とあったそうです。なかなかロマンのある説ですが、「帷子百年誌」には「帷子を朝廷に納めていたかどうか真疑(しんぎ)のほどはわかりません」とあります。

 もう一つは、地形の一方が山で、一方は田野が控えていることを意味する「片平」が転化したとする説です。現在、丘陵地は住宅団地となっており面影は薄いですが、確かに地域の趣はその通りで、説としては現実的です。

(『角川日本地名大辞典』などを参照)

【答え】かたびら