一年を通して植樹や間伐などを体験し、緑を大切にする心を育んでいる「北方小学校みどりの少年団」=揖斐郡揖斐川町北方、同校
コア山に苗木を植える児童たち=昨年10月、揖斐川町開田

 総面積の9割以上を森林が占める岐阜県揖斐郡揖斐川町。自然豊かな町で学校生活を送る北方小学校(同町北方)の4年生21人は「北方小学校みどりの少年団」として活動している。一年を通して植樹や間伐などを体験することで、身近な自然について学び、緑を大切にする心を育んでいる。

 毎年度、4年生が総合的な学習の時間を利用し、同少年団の活動に励む。昨年、優秀な活動実績をたたえる国土緑化推進機構の「みどりの奨励賞」を受賞し、12月に沖縄県で開かれた全国育樹祭併催行事「全国緑の少年団活動発表大会」に出場、同少年団の取り組みを報告した。

 学校近くの国道417号を揖斐川沿いに約30キロ北上した揖斐川町開田の徳山ダム上流域。ダム本体用の粘土採取で大半の木がなくなった通称コア山に4年生は昨年10月、コナラやブナなど実のなる木の苗45本を植えた。コア山に緑を戻そうと、ダム運用前から流域で取り組む環境保全活動で、北方小も代々の4年生が参加している。

 苗木はその年の4月、プランターで育て始め、直射日光から苗を守る木製のプランターボックスも自分たちで作った。水やりや草取りを欠かさず世話してきた。森本梢太(しょうた)君(10)は「自分で育てた苗木を自分で植えることができて良かった」と振り返った。

 学校の裏山では枝打ちや間伐作業を体験した。命綱を付けて枝打ち用のはしごで高さ3メートルまで上り、専用ののこぎりを使って枝を切り落とした。寺井煌真(こうま)君(10)は「力加減が難しかった。生きている木を切ったのは初めてだったので貴重な体験になった」。間伐材でキーホルダーも作った。

 山や森が水をきれいにする仕組みを学ぶ「流水実験」にも挑戦。枯れ葉や土を入れた容器と土のみの容器を用意し、水を流して出てくる水の色や量を比べた。枯れ葉入りの容器では、水はゆっくり流れ、ほぼ透明のまま出たが、土のみの容器からは勢いよく泥で濁った水が出てきた。

 子どもたちは実験の結果から、きれいな水を生み出すために、山や森に生えている木が重要な役割を果たしていることを学んだ。河瀬亮太君(10)は「木の豊富な山はきれいな水をつくりだしてくれる貴重な存在だと分かった。自然について学ぶことができて楽しかった」と笑顔を見せた。

 ミズナラやクヌギといった10種類のドングリの種まきなども体験した。髙木俊紀校長(57)は「活動を通して森林の役割を理解し、豊かな自然を守っていこうという気持ちと、古里を愛する心が育まれるといい。子どもたちには森や山で活動することの楽しさを味わってほしい」と願った。