新聞を参考に、個人新聞のレイアウトを話し合う6年生=岐阜市粟野東、岩野田北小学校
新聞の紙面の中から、習った文字を探す1年生=同

 「岐阜親切新聞」「知らなかった! 岐阜城新聞」。心温まる楽しそうな題字が、A4判のワークシートの右上を飾る。岐阜市粟野東の岩野田北小学校(全校児童528人)で行われた授業。同校は2017、18年度、NIE実践校に指定され、新聞作りを中心に活動している。2年目の本年度は全学年で活動に取り組み、新聞を身近な教材として活用している。

 6年1組の授業で、児童はふるさと岐阜市の自慢を紹介する新聞作りを始めていた。  6年生90人はこれまでに岐阜新聞記者の出前講座を受けて新聞の作り方を学び、京都・奈良の修学旅行をテーマにしたA3大の個人新聞、グループで模造紙(B紙)の壁新聞を制作。本社主催のかべ新聞コンクールにも作品を応募してきた。

 1組は、「岐阜市のよさを見つけよう」とのテーマで取り組む総合的な学習の時間に、B紙の大きさの個人新聞作りに挑戦している。地域の歴史やバリアフリーのまちづくりなど、調べてきた岐阜市の魅力が伝わるレイアウトにするにはどうすればよいか。児童は新聞各紙に現れた工夫を見つけながら、「写真はもっと大きい方がいいんじゃない」「グラフを使うと分かりやすいと思う」などとグループで意見を交わした。

 ターゲットにする読者は5年生。出来上がった新聞は体育館に掲示し、5年生を前に紙面の内容を説明するワークショップを行う予定だ。

 地域で親しまれている山の名前から「眉山新聞」と題した小林大曜君は「新聞の見出しには読み手を引き付ける工夫があることが分かった」。

 岐阜城の歴史について書きたいという福田龍之介君は「記事がいろいろな形になっていて面白い」と話し、写真を目立つように配置したり、横組みの見出しを取ったりと紙面構成を練る。

 山田桜愛(さくら)さんは「写真が、記事全体の半分を占めている記事もあった」。さまざまな分野の記事に興味を引かれたようで、「全部のページを読んでみたいと思った」と意欲的だ。

 NIE担当で担任の堀本泰寛教諭(26)は「読み手を意識した新聞作りを通して、表現の工夫を学び、書く力が付いてきた」などと成果を語る。

 本年度は5年生も個人新聞作りと壁新聞作りを実施。4年生は個人新聞作りと、記事を切り抜いて感想も書いた作品作り、3年生は個人新聞作りをした。

 低学年にできることは何か-。NIE実践は本年度が初めてという1、2年生が行ったのは文字探し。国語の学習として、新聞に書かれた文字の中から授業で習った平仮名や漢字を見つけた。紙面に掲載されている文字は膨大で、そのため、どの児童も知っている文字を必ず見つけることができ、文字習得の達成感を味わうことができたという。

 遠山健二校長(53)は「新聞を購読しない家庭が増え、新聞を触ったことがないという子どもたちもいる中、1年生のうちから手に取り、3年生からは自分で書いてみることで情報源としての価値を見いだしていってほしい」と話す。