NIEを伝えたいと話す原田結花先生=山県市高富、高富中学校
新聞記事を選び、そこから詠んだ俳句

県NIEアドバイザー・原田結花山県市立高富中教諭

 4月、新聞を使った学習(NIE)を一緒に学んできた教え子が2人、教員として新しい門出をしました。うれしい限りです。

 今回は、彼、彼女が小学校時代、どんな学習をしてきたかを振り返ることで、初めて新聞活用教育に取り組まれる方のヒントにしたいと思います。

 まず、Mくん。山あいの全校50人ほどの学校。1年生。春。週末に「親子新聞切り抜き日記」を始めました。好きな新聞の写真記事を切り抜き、用紙に貼り、一言感想を子どもが書きます。そして、家族も感想を簡単に書きます。

 最初は、授業参観で親子で行いました。スポーツ選手の写真、お祭りの写真。連休ごろには、豊富な種類の記事が集まってきました。年間を通して掲示するとそのコーナーは情報コーナーになります。

 秋。模造紙を使った作品を作りました。「新聞あいうえお」。新聞記事にある五十音の文字を、パッチワークのように貼り付けて作る。

 記事の種類を生かして「新聞すごろく」も作りました。野球のホームランの写真記事では、「五つ進む」とか、温泉の写真の記事では「1回休む」とか約束を作る過程で、新聞記事の内容を考えることができました。作った作品で、クラスのみんなで遊べるというおまけがつきました。

 この学校は、私のNIEの原点となった学校です。新聞を通して、宇宙飛行士の方と交流したこともありました。子どもたちと広い世界とつながるきっかけを得ました。

 次は、Tさん。田園風景の中にある、全校100人程度の学校。ここで私は、子どもたちと俳句を始めました。

「厳しい目で見て俳句を詠む」ことを指導者の先生に教えてもらい、毎月添削を受けました。新聞記事を通して、子どもたちに学ばせている「事実をもとに考え、根拠を明らかにして意見を持つ」に通じるものがあり、新聞記事の活用の仕方にもヒントを得ることができました。

 低学年ではよく、季節の風物詩の写真記事を切り取り、話題にしました。桜、ギフチョウの写真などは毎年必ず載ります。こうした写真記事から、自分の地域ではどんな花が咲いているかなど自然の話題にもつなげます。

 それが、俳句にもつながりました。5年生の子は、「季節の俳句新聞」という新聞切り抜き作品を作りました。季節の風物詩の記事に、俳句で小見出しをつけました。「梅花藻(ばいかも)」という珍しい花もありました。

 桜の写真は、墨俣一夜城のものでした。自分が最近見た桜の風景の俳句を添えたりしました。新聞記事を自分のくらしと比較するということは、社会の話題について使える力となりました。

 NIEの実践を始めてから24年。自分の教員生活のライフワークとなりました。

 若い教員のみなさんが、新聞をまず自らが読んでくださること、そして何か自分のライフワークとなる教師としての学びを見つけてくださることを願っています。