長年親しまれた車両の引退や新型車両の登場、珍しい列車の運行など、多くの鉄道愛好家らがカメラを構える。撮影を楽しむ愛好家は「撮り鉄」と呼ばれる。近年、列車を止めるなど法に触れる行為やマナー違反などが交流サイト(SNS)に投稿され、炎上状態になる事例が多く起きている。一方、8、9の両日には、長年「ワイドビューひだ」として岐阜県民らに親しまれたJR東海キハ85系のさよなら列車が高山線で運行される予定。多くの愛好家が駅や沿線に集まることが見込まれる。改めて、撮影のルールとマナーについて考えたい。
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」 鉄道営業法という法律がある。日本民営鉄道協会のウェブページによれば、鉄道営業法は「鉄道の設備について規定するほか、鉄道係員・旅客・公衆に対する禁止行為などを定めた法律」。鉄道の運行や利用に関する、基本的なルールを定めている。
岐阜新聞の掲載記事のデータベースを「鉄道営業法」で検索すると31件が該当。同法と「逮捕」で12件、同法と「書類送検」では10件。「逮捕」「書類送検」のキーワードで掲載された記事を見ると、大半が不正乗車だ。
その中で「撮り鉄」に相当するものもあった。岐阜県内で鉄道敷地内に立ち入ったとして、地元の警察署が5人を書類送検するなどした2016年の事案が見つかった。この事案では、柵を乗り越え鉄道敷地内に入り、貨物列車の写真を撮ろうとしたもの。住所はバラバラで、互いに面識はなかったという。
◇周りどう思うか
問題はなぜ起きるのか。愛好家に話を聞いた。浮かび上がったのは、交流サイト(SNS)の普及と低年齢化だ。
関東地方在住の40代愛好家は「鉄道の写真でも『鉄道写真家』の写真と『撮り鉄』の写真に分かれる」と指摘する。世間一般では鉄道の写真を撮る人をまとめて「撮り鉄」と呼ぶが、その中でも種類が分かれるという。「架線柱と集電装置の位置や順光、線路周辺の障害物など、『撮り鉄』には独自のルールがある」。独自のルールに合う条件で撮影できる場所は限られる。そこに多くの人が集まる。別の40代愛好家は「『撮り鉄』は一種のエクストリーム(過激な)スポーツ状態となっている」と話す。
SNSの普及により、誰でも写真や情報を発信できるようになった。人と人の関係を築くこともできる。反面、価値観の近い人だけの集まりともなる。40代愛好家は「昔は、撮影地などで若い人にマナーなどを教える文化があったと聞く。今は若い人同士でつながるようになった」と話す。
関東地方の通勤路線で駅員を務める20代男性は、自身も各地の国鉄特急型電車を追って撮影する。「風景とからめ、現場の雰囲気が伝わるよう撮っている」。撮影での迷惑行為を直接見たことはないが「路上駐車や田んぼのあぜへの立ち入りなど、地元の人が困っていると聞いたことはある」。勤務先の駅で、ホーム上に集まった撮影者を分散させた経験もある。電車の運転士が危険を感じ関係各所へ連絡したという。「乗務員に危険を感じさせないとか、地元の人に迷惑をかけないとか。周りの人がどう思うかを気にしてほしい」と胸の内を語った。
◇マナーに配慮を
長年「ワイドビューひだ」として親しまれたキハ85系。3月の特急「ひだ」での定期運行終了に続き、6月末には特急「南紀」での運行も終了した。JR東海によると、これまで沿線での大きなトラブルはなかったという。キハ85系のフィナーレを見送ろうと、沿線には多くの人出が見込まれる。JR東海は、安全に運行するため「必要な体制をとる」としている。「駅ホーム上では、列車の運行や他の人の通行を妨げないよう、撮影マナーに配慮してほしい」と呼びかける。












