④8カ月ぶりにレース再開、渡辺騎手V1号(9月8日)

 「よくぞ再開できた」 待望の再開レースV1号は渡辺竜也騎手が決めた。10月からは有観客でライブ観戦を楽しむファンの姿もあり、「再生・笠松競馬」は活気と明るさを取り戻した。それでも「空白の8カ月間」の代償は大きく、厩舎などへの補償費や競馬場維持費が膨らみ、新年度は約10億円の「マイナスからのスタート」。単年度赤字は必至で、再開後も厳しい経営状況が続き、12月時点で本年度5億円の赤字見込み。

 ★ここ8年間の黒字確保で、約38億円(3月末時点)に増えていた環境整備基金などを取り崩すことで補償費などを確保できた。12月開催では売り上げが1日5億円超えも目立ち、前年を上回る数字。冬場は馬券収入のアップが見込め、赤字幅圧縮に努めていく(努力次第で黒字化の可能性もゼロではない)。

 再開初日には「やっぱり騎手はレースに乗って、なんぼだなあ」と大原浩司騎手会長。「名馬、名手の里に恥じないよう、馬づくりに励みたい」と後藤正義調騎会長。「思っていたよりファンから応援していただき、ほっとしている。競馬ができる喜びを味わっている」とも。関係者は一丸となって「浄化」を押し進め、クリーンな競馬場に生まれ変わり、復興に全力を尽くしていく覚悟だ。

 

 ⑤2歳生え抜き馬・ドミニクが重賞V、シルバはコースレコード

 「スターホース誕生」 名古屋2歳重賞「ゴールドウィング賞」で、向山牧騎手騎乗のドミニク(牝2歳、後藤正義厩舎)が豪快な差し切りを決め、重賞初V。笠松生え抜きのスターホースが誕生した。同厩舎の快速馬シルバは笠松・ジュニアクラウンなど3連勝。800メートル戦で47秒4のコースレコードをマークし、この馬もスター候補。ともに6月の東海ダービー挑戦が期待されている。

 ★新生・笠松競馬の「看板娘」として、期待が大きい後藤正義厩舎の牝馬2頭。ドミニクは力強い差し脚が大きな武器。秋風ジュニアではスピード豊かなシルバに1馬身半及ばず2着だったが、順調さで一歩リード。笠松、名古屋のホースマンにとって最大の目標である「東海ダービー制覇」に向けて、さらなる成長が期待されている。

 

 ⑥オグリキャップ記念中止、笠松グランプリは高知勢V

 「不祥事の余波」 笠松の看板レースである4月のオグリキャップ記念は、不祥事による開催自粛で取りやめ。8月の3歳重賞・岐阜金賞も中止になった。11月の笠松グランプリは高知の9歳馬ダノングッド(別府真司厩舎)が多田羅誠也騎手とのコンビで豪快な差し切りVを決めた。1月には、タイセイプレシャス(後藤佑耶厩舎)が白銀争覇を制覇。水野翔騎手=引退=は国内重賞初Vを飾った。東海ゴールドカップは大原浩司騎手騎乗のウインハピネス(森山英雄厩舎)が制覇した。

 ★オグリキャップ記念は有馬記念と同じ2500メートル戦。全国からスタミナ自慢のトップホースが集結するビッグレースで、30回目での中止は残念だった。岐阜金賞は東海地区クラシックロード最後の一冠でもある。2022年はともにフルゲートで開催したい。

 不祥事の余波はあちこちに。ヤングジョッキーズシリーズでは東川慎、深沢杏花、長江慶悟の若手騎手3人が出場機会を奪われてしまった。重賞勝ちがある有力馬の多くは他地区へ流出し、古馬勢が手薄になった。東海ダービー馬ニュータウンガールは名古屋に転出していたが、レース中の故障で引退した。