⑦岡部誠騎手が名古屋、笠松両リーディングの快挙達成

 「名古屋の騎手、頼もしい助っ人」 4300勝超えの名手・岡部誠騎手が名古屋、笠松でともに騎手リーディングを獲得する快挙を歴代でも初めて達成した。名古屋では242勝を挙げて独走し、通算15回目のリーディング。笠松では実質4カ月間余りでのトップ争いになったが、岡部騎手の騎乗機会はレギュラー並みに増加。34勝を挙げて先頭に立っていた渡辺竜也騎手は調教中の落馬で負傷療養中。岡部騎手が52勝で一気まくって「東海2冠」。2位は藤原幹生騎手の48勝。藤原騎手は9月23日にはファニー(牝2歳、後藤正義厩舎)に騎乗し、地方競馬通算1000勝を達成した。

 ★岡部騎手は笠松でもオグリキャップ記念やラブミーチャン記念など重賞Vも数多い。「笠松の騎手が足りないんで、少しでも名古屋の騎手も力を貸して、盛り上げられれば。いいパフォーマンスを見せたい」と頼もしい助っ人ぶりを発揮。笠松勢としては、リーディングをさらわれた悔しさもあり、地元の意地を見せて巻き返していきたい。

 

 ⑧オグリキャップの孫・ミンナノヒーロー3連勝

 「笠松を元気づけた」 オグリキャップの孫・ミンナノヒーローが岩手で勝利を重ね、祖父が育った笠松競馬を元気づけてくれた。JRAデビューは脚元のけがで断念し、岩手競馬でデビュー。水沢で初戦2着後の初勝利では、騎乗した村上忍騎手に地方通算3500勝をプレゼントした。3連勝を飾ってJRA復帰の条件を満たしたが、その後、盛岡でのレース中に左前脚を故障するアクシデントで競走を中止し、天国に旅立った。

 ★JRA所属時の一口馬主だったこともあり、水沢まで応援に行った。初勝利では馬主気分を味わうことができたし、パドック周回でも表情や毛づやがオグリキャップそっくりで、ファンの熱視線を浴びていた。突然の別れはショックだったが、笠松競馬が苦境に立っていた時期に、力強い走りを見せてくれた。オグリキャップ記念では、種牡馬入りが決まった岩手のエンパイアペガサスも優勝(18年)しており、2秒8の大差勝ちは圧巻だった。ともにオグリの血統継承に情熱を注ぐ北海道・佐藤牧場の生産馬。ミンナノヒーローの妹・レディアイコも岩手所属の現役馬である。

 

 ⑨「ウマ娘」ブームで聖地巡礼、愛馬会売店は再開できず

 「オグリキャップの聖地へ」 9カ月ぶりに観客入りレースが再開され、20代を中心とした聖地巡礼の若い世代も来場。笠松競馬場デビューの「ウマ娘」ファンらがライブ観戦を楽しんだ。オグリキャップ像の記念写真を撮影し、ご当地グルメも堪能。ダートコースを力強く駆け抜ける人馬を応援した。オグリキャップが主人公で、笠松競馬場を舞台にしたウマ娘漫画「シンデレラグレイ」の単行本も大ヒットしている。

 一方、東門近くにあった愛馬会売店は再開できず。笠松ファンの「オアシス」として長年人気を集めてきたが、不祥事の余波で調教師の家族らの入場が制限されたため。12月前半の開催では、蹄鉄で作ったしめ飾りなどの販売が正門前で行われた。

 ★「ウマ娘」ファンらの聖地巡礼は、若い笠松競馬ファンを増やす絶好のチャンス。1月30日には仮装イベント&ファミリーマラソンが場内で開催され、盛り上がりそうだ。コラボでのグッズ販売が期待された愛馬会売店が閉まったままなのは非常に残念だ。グッズやオークションの売上金は、協賛レースで活用されてきた。競馬組合と笠松町は、移転を含めてどんな形でもいいので営業再開につなげるべきだ。

 

 ⑩笠松競馬場の企画展にぎわう(11~12月)

 「オグリキャップが大好きで」 企画展「笠松競馬場~オグリキャップのふるさとを訪ねて~」が笠松町歴史未来館で開かれ、にぎわった。オグリキャップの特大ぬいぐるみがお出迎え。ラストラン・有馬記念の「優勝ゼッケン」は武豊騎手のサイン入り。来場者プレゼントとして、競馬場のオリジナルグッズなどが当たる「ガラガラ抽選会」は空くじなしで好評だった。来場者は「オグリの最後のレースは感激して泣けてきた」と懐かしそうだった。

 ★笠松町発案のコラボ企画として実現。「オグリキャップが大好きで」と訪れたファンも多く、期間中に全国から約2500人が来場し盛況だった。笠松競馬場にも近くて周遊コースになり、いい展示会だった。お宝グッズのほか、笠松競馬場の変遷や名馬たちの歴史も紹介され、常設してほしい展示内容。「またやってほしい」という声も多く、「第2弾を開催してください」とお願いしておいた。

 ■不祥事に押しつぶされそうになった1年だったが、再生を願う現場の底力で立ち上がることができた。半年以上、レース再開を信じて攻め馬だけに黙々と励んだ騎手や厩務員たち。収入は激減し苦しい生活を強いられたが、よく耐えて踏ん張った。年末開催は1日3000人以上が入場。若者や家族連れの姿も目立ち、再開できて本当に良かった。「ぜひ現場で生のレースを見てください。僕たちもお客さんがいたら、もっといいレースができます」という勝利騎手の声がじんわりと心に響いた。