大みそか恒例の笠松競馬名物レース「東海ゴールドカップ」。スタンド前にも大勢のファンが詰め掛けて応援した

 年末の大一番、「勝てて良かったです」と大原浩司騎手会長。不祥事続きだった2021年の笠松競馬だが、大みそかに暗雲を一掃するゴールシーンで場内が沸いた。厳しい状況でも見放さずに応援を続けてくれた熱いファンたち。笠松競馬に関わる全てのホースマンが一丸となって信頼を取り戻し、新しい年を「復興元年」へとつなげたい。

 50回目を迎えた名物レース「東海ゴールドカップ」(SPⅠ、1900メートル)は、大原騎手が騎乗したウインハピネス(森山英雄厩舎)が末脚を爆発させ、豪快に差し切った。2着はベニスビーチ(田口輝彦厩舎)で笠松勢がワンツー。3着は名古屋のミラクルシップ(川西毅厩舎)だった。

 開催自粛中から県調騎会の騎手会長を務め、苦労も多かった大原騎手だが、自ら最後にスッキリと決めてくれた。2011年にタッチデュールで制したジュニアクラウン、プリンセス特別(現ラブミーチャン記念)以来となる10年ぶりの重賞Vを飾った。  

東海ゴールドカップ、大原浩司騎手が騎乗したウインハピネスが差し切りVを決めた。2着はベニスビーチで笠松勢のワンツーとなった

 背中を押してくれたのは、やはり笠松競馬の馬券を買って応援するファンたち。競馬専門紙の予想では、ウインハピネスの印は「△」「▲」だったが、パドック解説では「好仕上がりで勝負強い」と本命視。単勝オッズは2.8倍で、地元馬を1番人気に押し上げた。大井から転入3戦目となったが、元々は笠松在籍馬で、19年のオータムカップで重賞勝ち、笠松グランプリで3着の実力馬だった。

吉原騎手との追い比べを制した大原騎手、地元ファンの歓声

 地元ファンにとっては、しびれるレース展開になった。ウインハピネスは後方待機で7、8番手を追走していたが、大原騎手の手綱さばきに応えて、ダナミックな動きで4コーナーへ。最後は「重賞ハンター」吉原寛人騎手騎乗のベニスビーチと追い比べ。大原騎手の右ムチに応え、グイッと一伸びしたウインハピネスが2馬身先着。ゴールインとともにファンの拍手と歓声に包まれた。

 この1年、競馬場がつぶれそうで心が折れそうになった笠松のジョッキーたちだったが、最後に騎手会長がやってくれた。装鞍所に戻るとみんなが祝福。強烈な追い込みに「勝て勝て、行け行け」などと応援の声が飛んでいたそうだ。「(うれしくて)浩司、泣いていたんじゃないの」といった声も聞こえてきたが、そうでもなく、喜びをかみしめている感じだった。

鮮やかな手綱さばきで10年ぶりの重賞Vを飾った大原騎手

 ―最後に決めましたね。会長さんが。
  
 「良かったです。きょうはいい馬に乗せてもらってたんですが、結果を残せてなかったんで。メインを勝てて本当に良かったです」

 ―どの辺りで勝てると。最後は2馬身離しましたね。

 「抜け出すまでちょっと時間がかかったんで、勝てるかなあと思ったんですけど。抜け出してからは、またスーッと行ったんで、その辺りですね。道中は手応えが良かったんで、前が開けば、それなりの勝負ができると」