重賞Vはタッチデュールで2勝して以来
―あれだけ強豪がいて1番人気だったし、ファンの後押しがあったのかも。
「名古屋の強い馬もいたんでね。でもそれを(1番人気を)聞いてなくて良かったです。馬主さんも初めて笠松に来たって言ってました」とホッとした様子だった。1番人気だと意識すると、プレッシャーも大きくなるということか。
―大原さんの重賞勝ちはタッチデュール以来ですね。
「そう、10年ぐらい前かな。それ以来勝っていなかったです。タッチデュールでは2勝しているんで、重賞勝ちは三つ目ですね」

不祥事が続いた笠松競馬で、騎手会長の大役を任された。優勝セレモニーでは「状態が良さそうだったので、自信を持って乗りました。最後に大きいところを勝てたので、ちょっと報われたというか、ホッとしました。寒い中、応援ありがとうございます。来年も笠松競馬をよろしくお願いします」と来場した多くのファンに感謝した。
ウインハピネスを管理する森山英雄調教師も「最後はドキドキしました。強い競馬をしてくれて、まだこれからの馬だと思います。前走から中1週だったので、次走は2月ぐらいから」と確かな末脚に自信を深めた様子だった。
最後の競り合いで敗れたベニスビーチも笠松への復帰馬。2歳時には秋風ジュニア、ジュニアキングを勝ち、大井、岩手、金沢を経て再び笠松へ。金沢重賞2勝を飾った吉原騎手とのコンビで、4コーナーでは先頭を奪って押し切る勢いだった。勝ち馬の末脚に屈したが、負けて強しの競馬で、次走以降に重賞Vが期待できる好内容。実績馬2頭の笠松へのカムバックは心強く、古馬勢の層も厚くなりつつある。
大一番、4人に減った笠松のジョッキー
大みそかは朝から雪景色になったが、関係者の努力もあって全レース開催できた。東海ゴールドカップといえば、ちょうど40年前、騎手の1周勘違いによる八百長騒ぎが起きた因縁のレース。競馬場に来るしか馬券が買えなかった当時は、笠松に約3万人のファンが押し寄せたこともあった。
今回、笠松のジョッキー不足を象徴するかのように、出走12頭のうち名古屋、金沢の騎手が8頭に騎乗。このうち3頭は笠松所属馬への騎乗依頼となった。名古屋からは地方通算1000勝を達成した宮下瞳騎手もキーグラウンドに騎乗し、久しぶりに笠松参戦。パドックから返し馬への飛び出しでは「瞳さん、頑張って」などと熱い声援が送られた。

年末の総決算のレース。地元・笠松勢の騎乗は4頭にまで減少していたが、パドック前での整列ではちょっとしたハプニングもあった。
日本の競馬場では唯一の内馬場パドック。マイクロバスから降りた騎手たちは、通常は向かって左から馬番順に1→12と並ぶはずである。「笠松の騎手は6番からで、1~5番は名古屋勢だなあ」と改めて画像を見直してみると、5番・加藤聡一騎手と6番・松本剛志騎手の立ち位置が逆になっていた。
12頭立てのため「5枠」は5番、6番の2頭。ヘルメットには馬番も表示されているが、同じ黄色で勘違いもあったのか。先にバスを降りて整列したのは加藤聡一騎手だったが、お互い気付かなかったようだ。最近は動画配信も充実しており、ネット越しのファンの注目度は高い。他場でも若手騎手が整列の並び順を間違えることはあるようだが、少頭数が多い笠松では珍しいケースとなった。