岐阜県美濃市南部の長良川左岸側にあります。玉串が由来の一つだと紹介する資料が多いようです。

 当地の住吉神社=写真=では、かつて「芋ぶちまつり」という奇祭が行われていました。神社に集まった人が「やれくれしょ」というかけ声とともに、蒸したサトイモを5分間ほどぶつけ合うものだったそうです。天照大神(あまてらすおおみかみ)の妹の月夜見命(つきよみのみこと)が、お膳のサトイモを投げつけて悪魔を退治した伝説によるもので、最後にとどめをさしたのが頭の「櫛(くし)」。これを地名の由来とする説もあります。祭りは、1979年発行の市史に「20年ほど前に存廃が問題となり、投票の結果、廃止になった」とありました。

 ただ、「イクチ」や「イクジ」という言葉は砂礫(されき)地を指すといいます。長良川がかつてこの辺りで流路を変えていたことを考えると、これも由来としては有力ではないでしょうか。

【答え】いくし