「研究会」。仲間が集まって、将棋を指した後、検討や研究をする場のことです。
奨励会に入る前は、さまざまな大会に参加できますが、奨励会員になると、アマの大会に出場できなくなります。そのため、奨励会員の多くは、研究会に参加して腕を磨きます。
息子の明浩は、奨励会入会後、森信雄七段一門の「一門研」、藤井聡太現八冠も参加していた「稲葉研」、第26回に登場した野島崇宏さんが主催する「野島研」などに参加するようになりました。
研究会に参加するようになった息子は、「皆、真剣に指していてすごい」、「藤井君(藤井聡太現八冠)は、お昼ご飯を食べるときも将棋のことを考えている」などと、メンバーの真剣な姿に驚き、感心していました。
研究会では、普段の奨励会では対局しない人とも対局できるので、それも刺激になったようです。メンバーでお昼ご飯を一緒に食べ、いろいろと将棋の話をすることも、楽しい様子でした。
この連載を書くために、私は、息子の「将棋手帳」を初めて開きました。息子は、小学3年生のときから、大会や研究会の結果を、丁寧に記載していました。そこには、詰め将棋など、その日に頑張ったこと、これから頑張ろうと思っていること、どうして負けたかなどが書かれていることもありました。
サッカー元日本代表の本田圭佑選手をはじめ、子どもの頃から手帳やノートを記入して夢をかなえた方は多いですが、やはり、書くことの力は大きいのだと思います。
そのままだと慌ただしく過ぎ去ってしまう毎日も、手帳やノートで振り返り、自分の課題を見つめることで、よりレベルアップできるのだと思います。
高校生になると、関西将棋会館の棋士室で行われる研究会に参加する機会が増えました。また、棋士が参加する研究会にも参加するようになりましたが、息子が棋士のレベルの高さに驚いていたことを覚えています。
先日、新聞の観戦記で、息子が関西将棋会館の棋士室に、公式戦でも使える一級品の駒を2組寄贈したことを知りました。驚きましたが、その後、本人に聞くと、「棋士室では、いろいろとお世話になったから」と話していました。
プロとなった今は、後輩の奨励会員と研究会をしたり、食事をごちそうしたりすることも多いようです。息子には、先輩方の姿をお手本にして、これからも、プロ棋士としての人生を歩んでほしいと思っています。
(「文聞分」主宰・高田浩史)