―2024年はどんな年でしたか。
一昨年から続く製造業の停滞がなかなか改善に至らず、厳しい状況が続きました。一方で、資材高騰などを受けて、社会的に価格転嫁が受け入れられる気運が醸成され、一部の主力商品で価格改定が進んだことで、今後は利益率改善を見込んでいます。
―取り組んできた新規事業は。
当社はこれまで高い強度を誇るカーボン素材ボルトを開発してきました。それを生かして、東京慈恵会医科大学と取り組んできた脊椎手術用インプラントの共同開発が、着実に進展しています。臨床試験でも良好な結果が得られており、このまま順調に医療器具として申請ができ、認可が下りれば、今年中に販売にこぎつけられると期待しています。
―社内の環境整備は。
これまで当社では、社長以下の役職を設けないフラットな組織づくりを行ってきました。しかし、従業員が80人まで増加して新たな組織づくりの必要性を感じ、営業・システム・品質管理・製造のチームを編成し、各部長職を設けました。また、キャリアアップへのモチベーション向上を目指して、意欲のある人を評価する新たな評価基準を策定。若手採用にも注力し、YouTubeでの情報発信も始めています。
―今年の抱負を。
自社の既存技術を活用し、新たな顧客層獲得にチャレンジするため、OEMの経験やノウハウを生かして付加価値を高めた自社ブランドの確立を目指します。自社の技術が役立つフィールドがないか、あらためてリサーチし、これまでとはまったく違う分野で活路を見い出していきたいと考えています。当社の主力商品である金型の位置決め・固定を行う機械要素部品「ブランジャー」は、国内トップシェアを誇ります。その品質や技術力を全面に押し出し、ブランド力や認知度の向上につなげていきます。
