―昨年を振り返って。
予防医学による医療費削減を目指し、FPP(パパイヤ発酵食品)の研究を行っています。2005年からはアストンマーティン・レーシングのオフィシャルパートナーを務め、ル・マン24時間耐久レースに出場するドライバーとの実証や、大学機関とのさまざまな研究を通してFPPの酸化ストレス・炎症・免疫・疲労などへの効果を解明してきました。
耐久レースで得られた知見を高齢ドライバーの体調管理に応用すべく、名古屋大学との共同研究を始めました。伊豆箱根バスの中高齢ドライバーの協力により、疲労感や視覚機能などへのFPPの働きを明らかにしていきます。職業ドライバー不足は深刻ですから解決の一助になれば。米国・フロリダ州立大学とも、今春から75~80代のシニアドライバーの運転技能維持を目指し臨床研究を行います。昨年は、末永く運転を続けたいドライバーの支援に向けて邁進(まいしん)した年となりました。
―高齢者の運転への思いは。
近年、高齢者の運転免許証返納について議論されていますが、地方では車の運転ができなくなることは死活問題です。アルツハイマー病、パーキンソン病患者さんでのFPPを使った臨床研究では、運動症状・認知機能・酸化ストレスなどの改善が認められています。これらが高齢ドライバーでも発揮できれば、運転寿命延伸により、結果的に社会全体で見た医療費削減という最大の目標にも近付くことができると考えています。
―今後の方向性については。
運転寿命延伸や認知症予防については、高齢化率の高い自治体や地域のシニアクラブとも組んで研究を進めていきたいです。また、スポーツ選手のリカバリーについても名古屋市立大学医学部と話が進みつつあります。社会問題解決やスポーツ分野を応援する共同研究ができることをうれしく思います。
