―昨年を振り返って。
当社は非住宅を中心に幅広い建築設計を行っています。昨年も消防署やオフィス、クリニック、義務教育学校の設計に携わることができました。注力している木造建築においても、自動車修理工場が完成したほか、CLTを用いた新たな行政施設の建築も進めています。一方、業界全体を見渡しても設計の案件自体が少なく、先々の仕事の獲得に苦戦した年でもありました。
―木造に注力しているわけは。
まず環境に優しいこと。木材の持つ断熱能力や温かみといった目に見えるメリットだけでなく、安定的な調達能力や価格調整力、納期や建物の解体時まで考えたトータルコストでもメリットが出ることなどが利点です。非住宅の分野において需要にあふれているとは言えませんが、当社はその分野で着実に実績を重ねており、自信を持って幅広い業種の方々に提案しています。
―感じている課題は。
設計建築を取り巻く状況も急速に変化しており、特に新技術の進化は著しいです。当社でもBIMなどの新しい技術ツールは積極的に取り入れて活用していますが、ソフトウェアの進歩の一方で建築設計本来の存在意義が問われているという危機感もあります。真摯(しんし)に顧客の要望をくみ取った上で、必ずプラスアルファを生み出して期待以上の結果を残すことが建築設計の本質であり、当社が生き残っていく強みと捉え、一つ一つの仕事を遂行していきたいと思います。
―新年の抱負を。
建物はまちの表情をつくるという点で、建築設計はまちづくりに直結する仕事だと思います。より一層まちづくりに積極的に関わっていきたいです。昨年40周年を迎えた当社は先人たちが築き上げていただいたものです。これからの10年は、自分たちで築き上げていく本番。胸を張って50周年を迎えられるよう、一層努力していきます。
