道路の側溝に取り付けられるグレーチング。さまざまな種類やサイズがある
グレーチングの素材となる長さ6mの鋼材
鋼材に補助部材を熱で圧着させ、なじみのある格子状にしていく
切断機で必要な大きさにカットする
製品の7割以上が人の手で溶接されている

 グレーチング。なじみが薄い名前だが、道路の側溝で目にする格子状に組まれた鋼材のふたと言い換えれば、多くの人が想像できる身近な存在だ。汎用(はんよう)性の高い製品だけでなく、盗難防止のためにボルトで固定するタイプ、周囲の景観に溶け込むデザイン性の高い製品など多くの種類がある。グレーチングの全国シェア約10%を誇るのが宝機材(岐阜県瑞穂市別府)だ。工場では、要所での職人技が機能や規格に合わせた多品種小ロット生産が求められる生産現場を支えていた。

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 グレーチングの材料は長さ約6メートルの鋼材。最初の工程は細長い鋼材を電気で熱する圧接工程から始まる。鋼材をつなぐ補助部材も圧接機で溶着し、幅約1メートル、長さ約6メートルの格子状の原板を作る。次の切断工程で必要な大きさに合わせてカットするが、原板の特性に応じて、3種類の切断機を使い分ける。切断工程を経ると、見た目はグレーチングそのもの。同社では「切断ムカデ」と呼ぶ半製品となる。二つの工程と並行して、製品の高さを合わせるための角パイプや補強材など、さまざまな部材も作る。

 次に切断ムカデと、別の部材を組み合わせる溶接工程に入る。機械中心だったそれまでの工程とは違い、作業員が1人ずつ区切られたスペースの中で、切断ムカデに、つかみ手となる部材などをガス溶接で取り付けていく。側面を滑らかな仕上がりにするために、火花を散らしながら行う作業もあった。

 溶接は成形作業の最終段階となる要の工程。作りが単純で、大量に発注を受けるタイプは産業用ロボットに任せるが、全体の約7割が手作業に委ねられるという。総務課の末松正也課長(45)は「仕様別の細かい作業が必要」と説明する。その後、さび止めのためにグループ会社でめっき加工した製品は、最後に再び人による厳しい検品で完成する。

 こだわりが詰まったグレーチングだが、近年は従来より強度があるハイテン鋼と呼ばれる高品質の鋼材を多く使い、製品の軽量化につなげている。営業部の藤川寛課長(46)は「軽量化で一度に多くの輸送が可能になるので、カーボンニュートラルにもつながる」と意義を語る。さらに高機能な製品の開発にも力を入れており、ゲリラ豪雨のような状態でも、ほぼ100%排水する機能がある「バキュームグレーチング」を先月発売した。小型化や盗難防止機能も付けており、末松課長は「顧客のニーズを取り入れた製品開発が当社の強み。これからも『軽薄短省』にこだわり、道路土木分野を支えていきたい」と力を込めた。

 【工場概要】1974年設立。現在の工場は82年に稼働し、敷地面積は約3万3千平方メートル。グループ企業が担うめっき工程以外の作業を1拠点に集約している。国内向けのグレーチングを年間約50万枚、重量で約1万トンを生産する。従業員数は、グループ企業も含めて約160人。