木曽川河畔の笠松競馬場に早朝から集結したウマ娘ファンたち

 ウマ娘ファンらの熱気が場内に充満。来場者数は笠松競馬場では今世紀最高とみられる1万人超えとなった。

 好天に恵まれた4月29日の「ウマ娘シンデレラグレイ賞」デー。オグリキャップ愛にあふれたウマ娘ファン、トレーナーたちが聖地・笠松競馬場へ殺到。芦毛・白毛馬限定レースやコラボイベントで沸騰した。

 オグリキャップが主人公で、笠松競馬場を舞台にした人気漫画「ウマ娘シンデレラグレイ」は5年前に連載が始まり、大ヒット。4月からテレビアニメ化がスタートし、オグリキャップ生誕40周年も迎えてパワーアップ。ゴールデンウイークの真っただ中、聖地巡礼の若者らが笠松競馬場一帯や岐阜市にも訪れてにぎわった。

 オグリキャップの聖地では4月29日~5月2日の4日間、アニメ「ウマ娘シンデレラグレイ」×笠松競馬場コラボイベントを、集英社とCygames(サイゲームス)の全面協力で岐阜県地方競馬組合が開催した。メインの29日にはコラボ3レースや重賞の新緑賞、声優さん4人によるトークショーでウマ娘ファンらが熱狂した。

名鉄笠松駅でもコラボイベントが開かれており、オグリキャップのパネルも展示され、ウマ娘ファンらがスタンプラリーを楽しんだ

 笠松町一帯や名鉄沿線はウマ娘コラボイベント一色で染まった。町挙げてのコラボでは、舞台探訪マップやトレーディングカードを配布。名鉄とのコラボではラッピング電車やスタンプラリーも行われ、ウマ娘関連イベントが華やかに繰り広げられた。名鉄笠松駅など各駅でウマ娘関連グッズも販売され、新岐阜駅で出発式が行われたラッピング電車初日など大盛況だった。

 ■クリアうちわ予約制でも早朝から「ウマ娘パワー」

 注目のウマ娘シンデレラグレイ賞は4回目を迎えた。ファンお目当ての「笠松競馬場コラボ2025 クリアうちわ」のプレゼント(4000枚)やポップアップストア入場(29日)はネットでの事前予約制となり、これまでよりスムーズな流れとなった。

第2駐車場北側の待機エリアで開門を待つウマ娘ファンたち

 それでも「ウマ娘パワー」はすごく、開門前からトレーナーたちの長い行列ができていた。木曽川河畔にある笠松競馬場。開催初日、快晴に恵まれて早朝から大勢の若者らが続々と集結。第2駐車場には午前5時には遠方からマイカー30~40台が乗り入れ、7時半には満車に。遠征組も多く、車にはウマ娘キャラが描かれたりしていた。愛知や三重から始発電車で来たファンらも開門を待った。

 午前7時、コース内では調教に励む人馬の姿もあり、ファンらが堤防道路などから熱心に見学。シンデレラグレイで登場する笠松みなと公園からの景色も眺めながら、開門を待った。7時半になると、スタッフの指示で北側広場に待機列が形成された。前の方に並ぶことができた聖地巡礼のウマ娘ファンたちに「推しウマ娘」や来場目的などを聞いてみた。

 ■四日市の男性、3年連続で待機列一番乗り

 待機列への「一番乗り」となったファンは、3年連続で三重県四日市市から始発電車で笠松駅へ来たという40代男性だった。まさか今年も一番乗りとは。「いいタイミングで始発が着くんで。毎年同じ流れで先頭になりそうな所へ来て、たまたま(待機列の)一番乗りになっているだけですよ」とのことだ。今年の推しウマ娘は「やはりアニメが始まったオグリキャップですね。コラボレースや売店、トークショーもありますし最後まで居ようと。3日前には笠松町のコラボでも回ってきました」。それにしても一番乗りV3達成とは、聖地巡礼の達人のような存在だ。

午前9時半に開門。オグリキャップ像とウマ娘コラボパネルに迎えられ、入場するファンたち

 ■東京から「地方競馬が好きなんで」香川から「ラストランがドラマチック」

 2番手は東京から来た男性で「地方競馬が好きなんで、ただ競馬を見に来ただけですが。シンデレラグレイ賞などウマ娘の名前が入ったレースは見たいです」。茨城から来た男性は「推しはミスターシービーです。登場時から一目ぼれでネット上のイラストにもはまってしまって。シンデレラグレイ賞とトークショーが見たいし、あとは予約していたクリアうちわですね」。

 香川から車で来た20代ファンは「きのうから来て名鉄のコラボを回ってきました。ここに来たからにはオグリキャップ推しですね。パワフルな走りが好きで、ラストランがドラマチック。コラボは毎年来ていて4回目。こんなに規模が大きくなって。コラボうちわが楽しみで、自分の部屋に飾ってニヤニヤしています」。笠松競馬にとって、大変ありがたいシングレファンだ。

 近場の大垣、岐阜市民も6時前に車で来場。「競馬開催日には毎回来ています。馬を見ることが好きで写真をいっぱい撮るんで。サイレンススズカが好きです。タマモクロスの声優さんが来るのもすごく熱いですね」。職場の同僚男性も「オグリやエイシンフラッシュが好き。トークショーを見たい」と2人はゲートイン前から大盛り上がりだった。

売店で競馬専門紙を買い求め、アニメのポストカードもゲットするファンたち

 ■開門ダッシュ、アニメのポストカードもゲット

 開門は通常より30分早まり、続々と入場するファンたち。正門横には笠松競馬の守り神でもあるオグリキャップ像が来場者を歓迎。待望の開門ダッシュで、クリアうちわをゲットすると、お目当ての店でウマ娘グッズや競馬専門紙、ご当地グルメなどを買い求め、アニメポストカードも次々と入手。1R「アニメシングレ笠松競馬コラボ賞」2R「踊れ踊れやカサマツ音頭記念」など楽しいレース名が印字された馬券も人気。発券機の前には長い行列ができていた。

オグリキャップ像前にはウマ娘パネル(オグリキャップとタマモクロス)も設置され、撮影スポットに

 ■等身大パネルや「オグリの絵馬掛け」も人気

 オグリキャップ像前、場内特設ステージ、西スタンド2階通路には『ウマ娘 シンデレラグレイ』の等身大パネル(オグリキャップやタマモクロス)が設置され、カメラやスマホを手にしたファンが写真撮影を満喫。「オグリの絵馬掛け」コーナーも人気で、自作のウマ娘で願掛けしたり、作品を見て楽しんでいた。

アニメ「ウマ娘 シンデレラグレイ」の展示。ウイニングライブ「カサマツ音頭」のシーンも  

 西スタンド2階休憩室ではアニメ「ウマ娘 シンデレラグレイ」の展示も実施された。かつてはファン有志によるオグリキャップ写真展が常設されていた部屋でもあり、ウマ娘ファンの熱い視線を浴びた。オグリキャップやマルゼンスキーなどキャラクター設定画をはじめ、カサマツトレセン学園の教室や食堂なども紹介。オグリ初勝利後のウイニングライブ「カサマツ音頭」シーンでは原画と完成映像の比較展示もあり、シングレファンを喜ばせていた。

にぎわう丸金食堂前。串カツやどて飯などご当地グルメを買い求め、その味を堪能した

 ■ オグリは大食いキャラ、飲食店前にも長い列

 ウマ娘関連グッズが人気のポップアップストアやオリジナルドリンクなどが楽しめるアニメイトカフェもにぎわった。「きしめん」「どて飯」などで評判の丸金食堂やお値打ち感満点の大きな唐揚げが人気の寿屋、焼きそばがおいしい美津和家など各飲食店前にも長い列ができ、串物やおでんなどが飛ぶように売れていた。

 オグリキャップは大食いキャラで有名だが、3年前には1R開始前に各店の食材がなくなる異常事態もあった。このため、人気メニューは豊富に用意され、混乱なくスムーズな流れになった。

1万人を超える来場者があり、場内はスタンド前の外ラチ沿いもファンで満杯となった

 ■ スタンド前もファンで満杯

 ウマ娘シンデレラグレイ賞開催日の入場者は第1回4034人、第2回3034人、第3回が8290人。今年は入場無料化の効果もあって、続々とウマ娘ファンが詰めかけた。ウマ娘シンデレラグレイ賞や新緑賞など熱戦が繰り広げられたレースを見ようと、場内はスタンド前の外ラチ沿い一帯もファンで満杯となった。

 午後2時半には9000人を超え、昨年の記録を更新。最終発表の入場者数は1万168人に達した。1991年1月のオグリキャップ引退式では3万人以上が来場したが、今回はウマ娘パワー全開での大入りとなった。

 ちょうど20年前の2005年4月29日には、当時20歳になったオグリキャップが「復興の救世主」として笠松競馬場に里帰り。経営難で存続ピンチにあった笠松競馬場に多くのファンを呼び込み、オグリコールも湧き起こった。日本の競馬史上最大のヒーローで永遠のスターホースは、アニメの主人公にもなり、時を超えて輝きを増している。(次回に続く)


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 (筆者・ハヤヒデ)電子メール ogurinosato38hayahide@gmail.com までお願いします。
 
 ☆「オグリの里3熱狂編」も好評発売中

  「1聖地編」「2新風編」に続く第3弾「熱狂編」では、人馬の激闘と場内の熱狂ぶりに迫った。巻頭で「ウマ娘シンデレラグレイ賞のドキドキ感」、続いて「観客大荒れ、八百長騒ぎとなった昭和の事件」を特集。ページ数、カラー写真を大幅に増やした。