鼎談する(右から)井澤康樹理事長、早見俊さん、平田満男元館長=瑞浪市寺河戸町、ホワイトスクエア

 最後の美濃国守護である土岐頼芸(よりのり)を主人公にした歴史小説「土岐鷹(たか)の夢」を本紙で連載する岐阜市出身の小説家、早見俊さんが11日、瑞浪市寺河戸町のホワイトスクエア(井澤商店)で開かれた歴史講座に登壇し、執筆秘話や土岐氏への思いを披露した。すでに最終回まで書き終えた早見さんは「去り難い、頼芸と別れ難い気持ちで、何ともいえない余韻に浸っている。物書きとして幸せな1年だった」と心境を語った。

回答者全員にクオカード500円プレゼント!アンケート実施中!

 講座は、郷土史研究団体「美濃源氏フォーラム」が、美濃源氏土岐氏の研究講座として開催。早見さんは、小説原案者で同団体理事長の井澤康樹さん、元茨城県稲敷市立歴史民俗資料館長の平田満男さんと講座後の特別鼎談(ていだん)に参加した。

 早見さんは創作秘話を交えつつ「一番物書きとして魅力的に感じるのは土岐頼遠(よりとお)。血気盛んゆえ身を滅ぼしたが、その分キャラクターとして極立っている。県に生まれた者として土岐氏にもっと関わりたい」と話した。また年に12、13冊を執筆しており、今後について「岐阜県と戦前史、幕末、近現代の関わりや、県から見た明治、昭和の激動期に興味があり、書いてみたい」などと語った。

 井澤さんは「一足先に最終回を読んだが、本当に素晴らしい出来。ぜひ楽しみにしていてほしい」と呼びかけた。

 平田さんは、研究講座で水戸藩の尊王攘夷(じょうい)派「天狗党」と土岐氏とのつながりについて語った。天狗党は、常陸江戸崎城(現在の稲敷市)主となった土岐治頼(はるより)の子孫である商家の娘・さきと、水戸藩士の藤田東湖の息子、小四郎が1864年に挙兵したのが始まり。尊王攘夷を訴えようと浪士たちと京を目指す際に美濃を横断したため、県内各地にゆかりの品や逸話が残されている。

(武藤直子)