フジ・メディア・ホールディングス(HD)が16日発表した新体制案では、大株主の投資ファンド、ダルトン・インベストメンツが提案した取締役候補は一人も入らなかった。株主総会での賛否や世論の動向を考慮して一部受け入れも検討するなど社内の議論は揺れたが、下した結論は「外圧拒否」。ただダルトンの出方次第では総会での議決権の委任状争奪戦に発展する可能性もあり、火種はくすぶったままだ。

 フジHDはダルトン側候補者との個別面談を行うなど受け入れに向けた議論を進めてきた。「ダルトン案を一切排除する認識は持っていない」。16日の朝になってもなおフジHD取締役の一人は、ダルトン側提案の12人も検討対象にすべきだとの考えを示していた。

 フジHDは株主総会で委任状争奪戦になった場合の「票読み」を重ねたが、筆頭株主に躍り出た旧村上ファンド系の投資家の存在といった波乱要因もあり「負ける可能性はゼロではない」(フジ関係者)と分析。上場以来初の最終赤字で株主からの視線も厳しい。