アニメ「ウマ娘シンデレラグレイ」×笠松競馬場コラボイベントのトークショー。左からオグリキャップ役の高柳知葉さん、ベルノライト役の瀬戸桃子さん、ノルンエース役の渋谷彩乃さん、タマモクロス役の大空直美さん

 「出走です」「ゴールイン!」。オグリキャップの聖地に降臨した声優さん4人にウマ娘ファンのトレーナーたちが一斉に熱烈コール。アニメ「ウマ娘シンデレラグレイ」×笠松競馬場コラボイベントのトークショーが開かれた中央スタンド前は「笠松競馬マックス」の熱量で盛り上がった。

 「ウマ娘シンデレラグレイ」でオグリキャップは初勝利後、特設ステージでのウイニングライブで「カサマツ音頭」を初めて踊ったが、この日(4月29日)のトークショー出演者もその振り付けにチャレンジ。まさかの展開に大爆笑となった。

 「ウマ娘シンデレラグレイ賞」に続いて、最終レースの重賞「新緑賞」が終わっても、中央スタンド前はお客さんでびっしりと埋まっていた。ウマ娘ファンにとっては最大のお目当てでもある声優さん4人によるトークショーがスタートした。手拍子や大歓声と共にライブコンサートのようなノリでどよめき、トレーナーたちそれぞれの夢も駆け抜けた。

ウマ娘シンデレラグレイ賞を勝ったエイシンロッソネリと筒井勇介騎手の返し馬

 ■トレーナーたちも開門前からトークショーまで「完走」

 のどかな笠松競馬場ならではのアットホームな雰囲気。オグリキャップの聖地でウマ娘役の声優さん4人とトレーナーたちのコラボイベントが実現。レーシングアナウンサー長谷川満さんの軽妙トークと、逆に出演者から突っ込みを受けるシーンもあって、拍手と爆笑の渦に包まれた。

 「ウマ娘コラボ」デーは、シンデレラグレイ賞でオグリキャップとマーチトウショウ(作中・フジマサマーチ)の激闘を再現。明星晴大騎手の新緑賞での重賞初Ⅴでも盛り上がった。笠松競馬場に1万人以上が来場。早朝から開門を待って並んだ多くのトレーナーたちも、トークショーまで「完走」して笠松ライブを満喫した。 

2005年4月29日、笠松競馬場に里帰りし、アンカツさんと再会したオグリキャップ

 ■キャップ里帰りの20年前にも「芦毛伝説オグリキャップ賞」

 ウマ娘フジマサマーチ賞、ベルノライト賞、シンデレラグレイ賞のコラボレース3連発でスタンド一帯を埋め尽くしたファンも熱狂した。21世紀になって、笠松へのファン殺到といえば、ちょうど20年前のオグリキャップ里帰りセレモニーが思い出深い。

 「よくぞ、笠松に戻ってきてくれた」。2005年4月29日から2日間、当時20歳になったオグリキャップが経営難に苦しんでいた笠松競馬場に里帰り。「復興の救世主」として古巣に恩返しのため、北海道から来場してくれた。大勢のファンが熱視線を送る中、かつて7連勝を飾ったアンカツさんともゴール前で再会した。この日の入場者数は7751人で、今世紀の笠松競馬場入場者記録だったが、ウマ娘シンデレラグレイ賞開催で、それを上回るファンが殺到。昨年の第3回が8290人で記録更新。そして入場無料化の今年は1万168人で大台に乗った。

 20年前にはオグリキャップ記念(ミツアキサイレンス優勝)に続いて「芦毛伝説オグリキャップ賞」も行われた。芦毛馬限定(10頭)で、競馬場存続を願う復興レースの一つとして人気を集めた(翌年も開催)。そのレースが2022年に芦毛・白毛馬限定の「ウマ娘シンデレラグレイ賞」として復活し、今年で4回目を迎えた。

 ではそれ以前の笠松競馬場の入場者記録はどうだったのか。1991年のオグリキャップ引退式には「土手スタンド」からの見学者を含めて3万人以上が来場した(満員で入場制限)。昭和の時代には、競馬場の窓口に来るしか馬券が買えなかった。このため馬券が445億円も売れた昭和55年度には連日1万人以上が入場しており、最高記録は昭和49年の1万3799人だった。

拍手と歓声。ウマ娘ファンたちの熱気で盛り上がったトークショー

 ■オグリキャップ役の高柳知葉さんとベルノライト、ノルンエース、タマモクロス役の声優さんも

 トークショーでは、声優さんたち4人がオグリキャップを生んだ聖地に降臨。中央スタンド前はライブステージの熱気に包まれた。

 オグリキャップが現役時代、レースで10回も駆け抜けた笠松競馬場。来場を果たしたのはアニメ「ウマ娘シンデレラグレイ」の声優さんでオグリキャップ役の高柳知葉さん、ベルノライト役の瀬戸桃子さん、ノルンエース役の渋谷彩乃さん、タマモクロス役の大空直美さんの4人。ステージ出演者はこれまでの2人から倍増。パワーアップしたトークショーとなり、応援するトレーナーたちの熱い視線を浴びた。

 声優さん4人は、まず車で良馬場ダートコースを1周して、スタンド前に登場した。レーシングアナウンサー長谷川満さんの司会進行で開演。トレーナーたちは4人の登場をたたえて「お帰り」などと大歓迎、温かい拍手と歓声に包まれた。
 
 4人はあいさつに続いて、アニメのシーンや笠松競馬場についてそれぞれ感想を述べて、ファンのハートを熱く燃え上がらせた。

 ■来場者1万人超、出演者もテンション上がりノリノリ

 この日、オグリの里が行った「推しウマ娘は○○だ」の人気投票でもオグリキャップが断トツの一番人気。その主演オグリキャップ役の声優・高柳知葉さんは3年連続での聖地降臨となった。笠松の仲間(ベルノライトとノルンエース)やタマモクロスと一緒にオンステージ。昨年は雨だったが、今年は青空が広がって視界も良好。最終レース後の中央スタンド前、普段はカラスやハトなどが飛来するだけの閑散とした空間だが、ウマ娘育成トレーナーたちで埋め尽くされた。

 歓声がすごすぎて、所々しか聞こえなかったが、配布されたクリアうちわも振りながら声援を送るトレーナーたち。その熱狂ぶりに声優さんたちもテンションが上がりノリノリ。長谷川アナが来場者1万人超えを伝えると、出演者も「やったあ」と大喜びでトークにも力が入った。                
 

芦毛馬たちのウマ娘シンデレラグレイ賞のレース前。スタンドからウマ娘ファンたちが熱い視線を送った

 4人はこの日、みんなでシンデレラグレイの舞台となった聖地をちょっと巡る旅もしてきたそうだ。階段の所で運動をしたりして、アニメの中の世界が現実に存在していてワクワク。オグリキャップやベルノライトはトレーニングで金華山を走ったりしたが、頂上から眺める景色も印象的なシーンとなった。笠松町コラボでは「カサマツ篇舞台探訪MAP」も配布されており、トレーナーの皆さんも河川敷サイクリングロードのほか、岐阜市の観光名所でもある金華山からの景色なども楽しんでいるようだ。

 ■アニメで見ていた競馬場などの景色が現実に存在

 スタンドからすごい歓声を浴び、聖地デビューの声優さんたちは感激。ベルノライト役の瀬戸さんは、ようやく笠松競馬場に来ることができて、愛のあふれたイベントにワクワクが止まらない様子。「地元で有名」なノルンエース役の渋谷さんも大喜び。アニメではオグリと同じレースで走るシーンもあったが、ステージでノルンエースの衣装を初公開し、ファンの注目を浴びた。
 
 タマモクロス役の大空さんも笠松でのトークショー初登場。やっと来られた喜びが爆発し、最高の気分でうれしそう。車でおウマさんが走るコースを実際に回って、アニメと同じ景色に感動。タマモクロスは中央入りしたオグリと「芦毛対決」で最大のライバルとなり、「笠松発、天下取り」のストーリーを盛り上げた伝説の一頭だ。漫画では、たまたま笠松競馬場に立ち寄り、食堂できしめんを食べて「タマモクロスって言います!」とポーズを決めるシーンも印象的だった。
 
 過去2回のトークショーでは高柳さんのほか、イナリワン役の井上遥乃さん、シュヴァルグラン役の夏吉ゆうこさんが登場。今回、タマモクロス役の大空さんは待望のゲートインを果たせ、「白い稲妻」のトークもエンジン全開となった。2年前、高柳さんと井上さんは笠松競馬場できしめんのおいしさを堪能した。今回は機会がなかった大空さんにもタマモクロスが食べていた笠松名物のツルツル感をいつかぜひ味わっていただきたい。

笠松スペシャルトレーニングの「グッズ重量対決」も行われたトークショー

 ■スペシャルトレーニング3本勝負、「カサマツ音頭バトル」の結果は?

 ステージは笠松競馬場のコースでも勝負どころの「第3コーナー」を迎え、「笠松スペシャルトレーニング」に突入。トレーナーたちの「出走です」の掛け声で、4人は課題のクリアに挑戦した。長谷川アナは北原穣トレーナーになり切って3本勝負で出題した。

 1本目「ドリンクレポ対決」では、コラボドリンクメニューを味わってそのおいしさを伝えた。2本目「グッズ重量対決」では、総重量300グラムへの近さを競った。そして3本目が「メインレース」。オグリキャップが初勝利のウイニングライブで踊った「カサマツ音頭バトル」で盆踊りの振り付けにも挑戦した。

「カサマツ音頭バトル」では盆踊りの振り付けにも挑戦した

 いずれもオグリキャップ役の高柳さんが受けて立つ形で、3人のうちの1人ずつと対戦した。1、2本目で敗れ、ラストは負けられない一戦となり、「新笠松音頭」の曲に合わせて、次のポーズはどう決めるかを競った。「ハイッ、ヨイショ」。高柳さんとノルンエース役の渋谷さんの振り付けは頭上に右手を回して、ほぼ同じ決めポーズとなった。ステージ上もスタンドのトレーナーたちも大爆笑となり、大きな拍手を送った。

 「写真判定」にもなりそうな際どい勝負に、長谷川アナの判定結果は「同着です」となった。2人はまだ修業が足りなかったようで、来年またチャンスがあれば、オグリのようにウイニングライブでの振り付けも上達しているかも。

「ゴールイン」でトークショーを完走。ファンの声援に笑顔で答える4人の声優さん

 ■トレーナーたちと一体感みなぎって無事完走

 トレーナーたちは手やうちわを振って「オグリー」などと大歓声。トークイベントも4コーナーを回って最後の直線を迎え、ゴールが迫ってきた。テレビアニメ化での「ウマ娘シンデレラグレイ笠松篇」の放送やオグリキャップ生誕40周年のタイミングで、この笠松の地で開かれたビッグイベント。トレーナーたちのパワーアップした熱量で大いに盛り上がった。

 ラストはみんなで一斉に「ゴールイン!」と4人の健闘をたたえた。オグリキャップの聖地・笠松競馬場に舞い降りた声優さん4人による華麗なトークショーは、詰め掛けたトレーナーたちと一体感みなぎって無事完走を果たした。

「オグリの里」即売コーナー近くの馬券売り場にも行列ができた

 ■近場で楽しめるレジャーランド、全国から聖地巡礼ファン

 東スタンド裏では「オグリの里」もコラボイベントに出展し、聖地編など3巻の即売会を開いた。近くの馬券売り場では、ウマ娘ファンらが記念馬券を求めてお昼から長い行列ができており、馬券販売の面でもウマ娘効果を実感できた。1万人超えで馬券販売額は7億6900万円と昨年よりやや増加。ゴールデンウイーク中「近場で楽しめるレジャーランド」として人気を集め、全国からは聖地巡礼のウマ娘ファンが殺到した。

 入場無料化もあって、2日目以降も連日2000人超え。馬券販売は4日間トータルでは25億9700万円。1日平均では6億5000万円とよく売れた。

 ただ「的中、外れ」が分からないためか、「もしかして当たっているかも」と購入した馬券を全て払戻機に入れて「この投票券は的中していません」と連呼される若者もいた。大きな声が響き渡って、本人も恥ずかしい思いもしただろうが、これも競馬初心者が多かったためか。ファンは場名、レース名、馬名の入った記念馬券を1R前から買い求めていたようだ。

「推しウマ娘じは〇〇だ」に投票するファンたち

 ■「オグリの里」コーナー、青森や中国からもファン

 ゴールデンウイーク中でもあり、「オグリの里」コーナーには遠来のウマ娘ファンの姿も多くあった。青森から来た男性は大阪万博帰りに立ち寄ったという。中国から来場したという若者は日本語も読めるそうで、ともに聖地編など3冊をお買い上げいただいた。オグリの聖地・笠松競馬場への来場記念になれば幸いである。

  シンデレラグレイ人気は海外のウマ娘ファンにも浸透しつつあるようで、笠松競馬場には、これまで韓国や台湾からの来場者もあった。聖地巡礼では全国からトレーナーたちが集結。今回のコラボイベントで笠松競馬場の知名度も国内外でかなりアップしたことだろう。

 ■「推しウマ娘」オグリキャップ圧勝、タマモクロス2着

 第2回「推しウマ娘は〇〇だ」人気投票の結果発表(今回はウマ娘キャラに限定)。4月29日~5月2日(1日1人2票まで)。

 「推しウマ娘は〇〇だ」人気投票ベスト30
             (オグリの里)
 1(1)オグリキャップ    141票
 2(13)タマモクロス     37票 
 3(4)サイレンススズカ   35票 
 4(26)トウカイテイオー   32票 
 4(3)ライスシャワー    32票 
 6(35)マチカネタンホイザ  26票 
 7(21)ダイワスカーレット  25票 
 8(16)ミスターシービー   23票 
 9(35)オルフェーヴル    22票
 9(16)メジロマックイーン  22票 
 
 11(89) テイエムオペラオー 21票
 11(6) ゴールドシップ   21票
 11(4) キタサンブラック  21票
 14(9) アグネスタキオン  20票
 14(26) ナイスネイチャ   20票
 16(9) シンボリルドルフ  19票
 16(26) サトノダイヤモンド 19票
 18(-) スペシャルウィーク 18票
 19(47) マヤノトップガン  17票
 19(89) メジロアルダン   17票
  
 21(2) シュヴァルグラン  16票
 21(47) ジェンティルドンナ 16票 
 21(89) ウインバリアシオン 16票
 24(-) アーモンドアイ   15票
 24(47) サクラチヨノオー  15票
 26(-) カレンチャン    14票 
 27(-) セイウンスカイ   13票
 27(35) アストンマーチャン 13票
 27(7) キングヘイロー   13票
 27(47) アドマイヤベガ   13票
  かっこ内は第1回順位、ーは得票なし。

 昨年【優勝】オグリキャップ 49票
   【2着】シュヴァルグラン23票
   【3着】ライスシャワー 22票

 第2回はオグリキャップが大きく票を伸ばし連覇達成。「ウマ娘シンデレラグレイ」登場のタマモクロス2着、サイレンススズカも順位を上げて3着に入った。

 トウカイテイオー、マチカネタンホイザ、ダイワスカーレット、ミスターシービー、オルフェーヴル、メジロマックイーンもベストテン入り。昨年2着のシュヴァルグランは21位、7位のキングヘイローは27位に後退した。

2頭のマッチレースになったウマ娘シンデレラグレイ賞。オグリキャップ愛にあふれたファンたちが多く観戦した

 ■「アニメは結末を知っていても見たくなる」

  投票したファンの反応は。
 「オグリキャップはライバルに恵まれた。地方から勝ち上がって、中央ではジャパンカップや天皇賞・秋など2着でもいい負け方をしている。最後の有馬記念でまさかの勝利。武豊騎手が乗ってドラマでしたね。アニメは結末を知っていても見たくなる」
 「マチカネタンホイザやメジロアルダンは見た目のデザインやキャラクター受けして得をしている」

  女性ファンからも。
 「オグリキャップ、愛されていますね。『オグリの里』をじっくり読みます」
 「オグリのぬいぐるみだけの『UFOキャッチャー』があった。それに女の子が群がっていましたよ」

 第4回ウマ娘シンデレラグレイ賞は2頭のマッチレースになり、ジュニアクラウンでのオグリキャップの激闘ぶりを再現したようなゴール前になった。馬との距離が近いラチ沿いに陣取ったウマ娘ファンたちは大興奮。オグリキャップ愛にあふれ、聖地巡礼で笠松競馬場を訪れた1万人超の温かいトレーナーやサポーターの皆さん。トークショーなどコラボイベントも大成功。オグリキャップは永遠のアイドルホースとして輝きを増し続けていく。 
 


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 (筆者・ハヤヒデ)電子メール ogurinosato38hayahide@gmail.com までお願いします。
 
 ☆「オグリの里3熱狂編」も好評発売中

  「1聖地編」「2新風編」に続く第3弾「熱狂編」では、人馬の激闘と場内の熱狂ぶりに迫った。巻頭で「ウマ娘シンデレラグレイ賞のドキドキ感」、続いて「観客大荒れ、八百長騒ぎとなった昭和の事件」を特集。ページ数、カラー写真を大幅に増やした。