岩手医大病院で2003年11月に実施された精神疾患がある男性の不妊手術が、全国の実施件数などをまとめた国の統計に計上されていないことが1日、共同通信の取材で分かった。病院側が、母体保護法で義務付けられた行政への届け出を怠っていた疑いがある。
男性を巡っては、同法の要件で精神疾患を理由とする不妊手術が認められていないにもかかわらず、病院側が事前に要件を十分確認していなかった疑いが判明している。
岩手医大病院は「記録が残っていないため回答できない」、岩手県は「当時、県への届け出がなかったためと認識している」とした。母体保護法を所管するこども家庭庁は「手術が行われた場合は、法に基づく届け出が適切に行われるべきだ」としている。
母体保護法は、不妊手術を実施した場合は翌月10日までに都道府県知事に届け出るよう医師に義務付けている。件数は国の統計「衛生行政報告例」に計上される。
それによると、03年度は全国で男女計2873件実施され、岩手県分は女性が71件、男性が0件となっていた。