漫画の原画を収蔵するため改修された元地主の屋敷と、「横手市増田まんが美術館」の大石卓館長=5月、秋田県横手市

 明治前期から戦前にかけて建てられた商家が残り、国の重要伝統的建造物群保存地区となっている秋田県横手市増田町。この商家が備える豪雪地帯特有の土蔵を、漫画の原画収蔵庫に利用する取り組みを、「横手市増田まんが美術館」の大石卓館長らが進めている。少子高齢化で管理が難しくなっていた旧商家を活用することで、町並み保存にもつなげる狙い。

 同美術館は「釣りキチ三平」などで知られる同市出身の漫画家矢口高雄さん(故人)の原画4万2千点を含む49万点を収蔵。最大70万点まで収められるが、国内でこれまでに出版された漫画の原画数は6千万点にも上るとされ、収蔵規模の拡大が課題となっている。

 収蔵場所として目を付けたのが管理が難しくなっていた商家の「内蔵」。母屋の後ろに建ち全体がすっぽりと屋根で覆われた屋内型の蔵で、積雪の多い時期でも使えるよう重厚に作られたという。

 紙は乾燥に弱く、湿度55〜60%の環境が望ましいとされる。