ベストセラー小説「日本沈没」で知られ、1970年大阪万博に関わったSF作家小松左京さん(31〜2011年)が、万博のテーマや閉幕後の「あと利用」について考察した未発表メモが、小松作品の著作権を管理する「小松左京ライブラリ」(神戸市)の保管資料から見つかった。
小松さんは在野の研究会「万国博を考える会」で活動し、テーマ策定に寄与したほか、テーマ館の展示も担当し芸術家岡本太郎さんを支えた。次男でライブラリ代表の実盛さん(61)は「万博の仕事に取り組んでいた渦中に、本人が何を考えていたかが分かる生々しい記録だ」と話す。
メモは原稿用紙計3枚で、68年ごろ書かれたとみられる。70年万博のテーマ「人類の進歩と調和」に関し「『進歩』軸点によってあらゆるものがリードされていくのか」「『調和的進歩』のために、ある程度規制をすべきなのか」と記述。科学技術の進歩に力点が傾く状況への葛藤がうかがえる。
「万国博後の大阪」と書かれたメモでは、「あと利用の体制はあるか」などと広くレガシー(遺産)の活用を構想した。