判決を受け、福岡高裁前で「不当判決」と書かれた紙を掲げる原告側の弁護士=10日午後

 三菱重工業長崎造船所(長崎市)で作業中に粉じんを吸い込みじん肺になったとして、下請け会社の元従業員1人と提訴後に死亡した2人の遺族が損害賠償を三菱重工に求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は10日、じん肺と認めず原告側の請求を棄却した。うち2人に関し、計約1520万円の支払いを命じていた2023年の一審長崎地裁判決を取り消した。

 原告らは、じん肺法が定めるエックス線を用いたじん肺管理区分の決定を受けていた。高瀬順久裁判長は判決理由で、現時点の医学的知見に基づき、エックス線写真やCT画像などを総合的に判断するのが相当と指摘。「画像上に粉じん暴露に基づく特徴的な所見がない」と判断した。