日本学術会議の建物
 日本学術会議を現行の「国の特別機関」から特殊法人に移行させる法案が可決、成立した参院本会議=11日午後

 日本学術会議を現行の「国の特別機関」から特殊法人に移行させる法律が11日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。学術会議側は政府による介入が強まり学問の自由が侵されるとの懸念を示してきたが、政府は「独立性や自律性が抜本的に高まる」と繰り返して修正に応じず、両者の溝が埋まらないまま新組織へ改変する。

 反対する立場の立憲民主党の石垣のり子氏は、坂井学内閣府特命担当相が5月の衆院の審議で「特定のイデオロギーや党派的な主張を繰り返す会員は解任できる」と発言したことを批判。「思想信条の自由や学問の自由を脅かし、答弁自体が政治的介入だ」と述べた。

 首相が新会員を任命する現行方式はやめる一方、運営の透明性を高めるとして、首相任命の監事や評価委員を新設する。現行法の「平和的復興、人類社会の福祉に貢献する」とうたう前文や、「独立して職務を行う」との条文の文言は消えたことから、独立性確保について不安視する声が強まっていた。法人に移行するのは2026年10月。