接種される新型コロナウイルスワクチン=2021年2月、熊本県八代市

 新型コロナウイルスワクチンの接種開始が3カ月遅れていたら、2021年の国内死者数が実際より2万人余り増えていたとの推計結果を、東京大新世代感染症センターの古瀬祐気教授らのチームがまとめた。また「ワクチンの安全性に関するデータは捏造されている」といった誤情報を信じた未接種者が、信じていない人と同じ割合で接種したとすると431人の死亡を防げたとの結果が出た。

 古瀬氏は「次のパンデミックが発生した場合など、今後のワクチン接種戦略を考えるのに役立つ」と話している。約3万人を対象にした21年のアンケートによると、未接種者の36・6%が誤情報を信じていたといい、誤情報の影響を抑えることができれば、接種率を上げて死者を減らせる可能性も示した。

 チームは、感染者数の他、ワクチンの接種率や有効性のデータを基に計算。21年12月にオミクロン株が出現するまでの国内の新型コロナによる死者は約1万5千人とし、同年2月に医療従事者らを皮切りに接種が始まったワクチンにより約3万人の死亡が回避されたと推計した。