事件発生当日の富山中央署奥田交番=2018年6月26日、富山市

 富山市の交番が襲撃され2人が死亡した事件から26日で7年となった。奪われた拳銃で撃たれて亡くなった警備員中村信一さん=当時(68)=の妻が、同日までに市内で報道陣の取材に応じた。強盗殺人罪などに問われた元陸上自衛官島津慧大被告(28)は法廷で何も語らず事件の全容は不明のまま。妻は「ただただ、被告と話がしたい」と胸の内を明かした。

 二審名古屋高裁金沢支部判決などによると、被告は2018年6月26日、富山中央署奥田交番所長の稲泉健一警部補=当時(46)、警視に昇任=をナイフで刺殺。奪った拳銃で、近くの市立小で警備業務をしていた中村さんを射殺した。

 二審判決は、殺人と窃盗の罪にとどまるとして無期懲役とした一審判決には「事実誤認がある」とし、審理は富山地裁に差し戻された。再び裁判員裁判が開かれる予定で、争点を整理する公判前整理手続きが進む。被告は一審で黙秘を貫き、二審は出廷せず、謝罪の言葉はない。妻は「憎む気持ちはあるが、事件以外のことから被告との対話を始めたい」と願う。