九州5県で災害関連死を含め計79人が犠牲になった2020年7月の豪雨から、4日で5年となった。球磨川や支流が氾濫し、特別養護老人ホーム「千寿園」の入所者14人を含む25人が死亡した熊本県球磨村では、午前8時半にサイレンが鳴り、住民らが黙とうして祈りをささげた。
村には献花台が設けられ、松谷浩一村長が献花。
隣接する八代市を流れる球磨川の河川敷では、氾濫が起きた早朝に合わせて、住民ら約30人が地元の風習にならい「安穏なれ」「一日も早い復興を」などと願いを書いた石を川に投げ入れた。行事を企画した道野紗喜子さん(46)は知人ら4人を水害で失ったといい、「将来の災害に備えるため、風化はさせたくない」と話した。
20年7月の豪雨では、梅雨前線の停滞や線状降水帯の発生により、各地で川が氾濫。4日未明に大雨特別警報が発令された熊本県では67人が死亡、いまも2人が行方不明となっている。家屋7千棟超が被害を受け、6月30日時点で27戸49人が仮設住宅などに入居している。
球磨村の人口は豪雨前に比べ半減した。