鹿児島県の奄美大島近海で、頭を上に向け“立ち寝”のような状態で眠るマッコウクジラの群れが観察された。調査を続ける奄美海洋生物研究会の興克樹会長が同島西方約15キロの海域で先月23日に確認し、撮影した。興さんは「これまで見た中で最大の群れで、寝姿を見たのも初めて。感動した」と振り返った。
興さんによると、海面から3メートルほどの深さで確認された約20頭の群れのうち中央の4、5頭が立って寝ているような状態だった。体長は最大で約14メートル。奄美の周辺海域に定住する母子の育児群に雄が来遊し、大きな群れになったとみられる。
マッコウクジラの睡眠時間は1日のうちの2時間弱といわれ、その瞬間に遭遇するのは貴重だという。
地元の観光船事業者らで構成され、同じく興さんが会長を務める「奄美クジラ・イルカ協会」は2020年から奄美近海で回遊ルートや生息域の調査を続け、ツアーも実施している。興さんは「調査とツアーを通して生態に関する知見を集積し、保全と活用を図りたい」と話している。