スペイン北東部パウルスの山火事で消火活動を行うヘリコプター=8日(ゲッティ=共同)
 スペイン・パウルス、バルセロナ、マドリード

 欧州各地が気候変動による記録的熱波に見舞われている。死者が多数報告され、欧州南部の国々では山火事が頻発。7月上旬に近隣の山で大規模な火災が起きたスペイン北東部の村では住民が再発におびえ、相次ぐ熱波による農作物の収穫減少に不安を漏らした。

 スペイン北東部カタルーニャ自治州バルセロナから車で約3時間。山奥の小さな村パウルスに近づくと、山火事で焼け焦げて茶色くなった木々が至る所で目に入った。

 「地獄のような光景だった」。オリーブとオレンジの農家で村民のヘラルドさん(72)が顔をゆがめながら振り返った。

 火災は7月7日、パウルス近くの山で発生した。火は乾燥した空気と強風で瞬く間に広がり、当局は付近の住民1万8千人以上に外出禁止令を出した。地元メディアによると、消火活動中の消防士1人が死亡した。

 毎年のように熱波と干ばつに襲われるスペインだが、状況は年々悪化する。

 スペイン環境省は7月中旬、国内で過去2カ月間に高温で1180人が死亡したと発表した。昨年同時期の10倍だ。(パウルス共同)