タイ東北部のカンボジアとの国境付近で、地雷を探すタイ軍兵士=20日(タイ国防省提供、共同)

 【バンコク共同】カンボジアが最近、国境地帯に地雷を埋設したとして、隣国のタイ政府は対人地雷禁止条約(オタワ条約)締約国会議の議長国を務める日本に条約違反を報告する意向を固めた。タイ政府担当者が22日までに明らかにした。巡回中のタイ兵が16日に地雷を踏んで重傷を負い、タイ軍が調査していた。

 カンボジア政府は21日、事実無根だと否定する声明を発表し、国際社会で地雷除去活動を率先してきたと訴えた。

 タイ政府は東北部ウボンラチャタニ県の爆発現場付近で複数の地雷を発見したと説明。国軍の調査によると、地雷は作動可能なきれいな状態で、周囲の植物も育っていなかったため、カンボジア内戦時代などの残存地雷ではないと判断したという。

 両国軍は5月に同県の国境で偶発的に交戦し、カンボジア兵1人が死亡して対立が激化。タイ政府は地雷の埋設がこの交戦以降だった可能性があると主張している。

 1999年発効のオタワ条約は対人地雷の廃絶を目指し、使用や生産、貯蔵を禁止する。カンボジアは70〜90年代に深刻な被害を受けた。