太平洋戦争後にフィリピンに残された日系2世の竹井ホセさん(82)が6日、日本政府の国費で来日し、父親の親族と初めて対面を果たした。竹井さんは「ずっと会いたいと思っていた。命ある限り関係を続けたい」と喜んだ。
竹井さんは4月にマニラで石破茂首相と面会していた。無国籍状態となっているフィリピン残留日系人への政府による日本国籍回復支援が、戦後80年の節目にようやく本格化した。
竹井さんは6日午後、大阪府河内長野市に住む異母弟の宏之さん(73)と市内の旅館で対面。「無口でしゃべるのが苦手」と自身の性格を紹介すると宏之さんが「父も同じでした」と明かし、2人とも笑みを見せた。竹井さんは父親の写真を1枚も持っていないといい、宏之さんから手渡された遺影を額に当てて涙を浮かべる場面もあった。
竹井さんの父親はルソン島に住んでいた日本人の鉄道技術者で、母はフィリピン女性。母親の妊娠中、父親は消息を絶ったが、軍人となり日本に帰国していたことが後に判明したという。