波が打ち寄せる海岸の石とゴムのアヒルをくっつけている「ハイドロゲル」=7月、北海道小樽市(北海道大提供)

 水中でも強力な接着性を発揮する「ハイドロゲル」と呼ばれるゼリー状材料の開発に成功したと、北海道大のグン・チェンピン教授らのチームが6日、英科学誌ネイチャーに発表した。耐久性が高く、体内に入れても安全に使える可能性を実験で示した。けがを覆う被覆材から深海探査機の補修まで、幅広い用途が想定される。

 チームは、フジツボやカタツムリなどが持つ天然の接着剤約2万5千種類の情報を基に、180種類のハイドロゲルを作製して接着性を計測。データを「機械学習」という方法で人工知能(AI)に学ばせ、より性能が高い組成を提案させた。これを実際に作り、データをさらにAIに学習させるという作業を繰り返し、最も接着性が高い新規のハイドロゲル3種類を特定した。

 これらは1平方センチ当たり約10キロの力で引っ張ってもはがれず、貼ったりはがしたりを200回以上繰り返しても接着性が維持できた。波が打ち寄せる海辺の岩に物を固定できたほか、水を満たした高さ3メートルの筒の下部に開けた直径2センチの穴に貼り付け、漏れを止めることもできた。