水素価格支援のイメージ

 経済産業省は、水素燃料の利用拡大に向けた総額3兆円の支援制度を2026年度から本格的に実施する。供給開始から15年間にわたり補助金を支払う仕組みで、天然ガスなどの既存燃料よりも割高な水素の価格抑制を狙う。要求額を明示しない「事項要求」として関連費用を26年度予算の概算要求に盛り込む。

 経産省は支援する事業の審査を進めており、今秋ごろから順次認定する。24、25年度予算でも補助の財源として計446億円を確保しているが、支給実績はない。26年度は事業の本格実施をにらんで、予算規模が大きく膨らむ見通し。脱炭素化の鍵を握る水素普及に向けた取り組みが、官民一体で動き出す。

 水素は燃焼時に二酸化炭素(CO2)を出さない利点があり、燃料電池車(FCV)や発電、鉄鋼や化学といった産業向けなど幅広い分野で活用が期待されている。

 支援制度では水素の製造や輸送、貯蔵を一体で支え、水素のサプライチェーン(供給網)構築を目指す。天然ガスなどとの差額を補助することで、事業の収益性を確保しやすくする。