2013〜15年に生活保護基準を引き下げ、最高裁に違法と認定された厚生労働省は13日、解決策を練る専門委員会の初会合を開いた。原告側は生活保護費が減った全員に、減額分を全額追加支給して補償するよう求めており、受け入れるかどうかを検討する。敗訴から1カ月半の空白期間を経る異例の展開。原告側は専門委は不要で、即時に被害を回復するべきだと反発を強めている。
厚労省の鹿沼均社会・援護局長は会合の冒頭で「最高裁判決への対応は、非常に重要かつ難しい議論になる」と述べ、委員に丁寧な審議を求めた。
厚労省は13〜15年、物価下落を反映する「デフレ調整」を根拠に、生活保護基準を段階的に引き下げた。受給者の窓口となる自治体は、この基準に沿って保護費を減らした。6月27日の最高裁判決は、引き下げは専門家の審議を経ておらず違法と判断。減額処分を取り消した。国の賠償責任は否定した。
当時の受給者は約200万人。問題の基準は18年度に改定されるまで使われたため、減額は累計で数千億円規模になるとみられる。