那覇市で行われた舞台「生きているから〜対馬丸ものがたり〜」の公演=16日午後

 太平洋戦争後期の1944年、沖縄県を出た学童疎開船「対馬丸」が米軍に撃沈され、1500人近くが死亡した事件を題材にした舞台「生きているから〜対馬丸ものがたり〜」が16日、那覇市で公演された。撃沈から81年を前に、演出家の宮本亜門さんが手がけ、悲惨な戦争と命の尊さを描いた。公演は17日までで、チケットは完売済み。

 対馬丸の生存者で、88歳で亡くなった平良啓子さんらの証言を基に制作。舞台では、疎開のため家族と離れた10歳の「啓子」らを乗せた船が魚雷に襲われる。爆発音と子どもたちの叫び声がとどろく中、波にさらわれながらも命をつなぐ物語を表現した。

 啓子役の松永梨楓さん(11)=同県宜野湾市=は公演後、取材に「戦争の悲しさを届けられるように頑張った」と話した。啓子のいとこで、事件で犠牲になる役を演じた又吉あむさん(8)=同市=は「対馬丸が沈んだことを知らない子に知ってもらいたい」と語った。

 約30年前に沖縄に移住した宮本さんは、昨年8月に那覇市であった対馬丸の慰霊祭に参列し制作を決意した。