初めて対面で開催した在仏岐阜県人会=2021年9月、フランス・パリ

 正直、とても不安でした。2021年4月に初めて開催した在仏岐阜県人会。ほとんどがお互い初対面で、しかもオンライン。会話は弾むんだろうか。

 本当は1年前に行う予定でした。数人で意気投合して発足に向けて動き出すと、わずか1カ月で30人もの方が集まりました。「以前から岐阜県人会があったらいいと思っていました」とのうれしい声も。いろいろ準備を進めて開催まで1週間となった日、フランス国内での厳しいコロナ対策が発表されました。翌日から外出は原則禁止、カフェやレストランも閉鎖され、県人会発足は無念の延期となりました。

 その後も大人数で集まる環境が整わず、やむなくオンラインでの初会合となったわけです。当日は長期在住者、短期赴任者から、岐阜に留学したフランス人までさまざまな人が参加しました。まずは、発足を祝って各自ワインで乾杯。自己紹介に続いて、フランスから見た岐阜観光から、郡上踊りの流派、大垣のつけ麺屋に至るまで、話題は尽きず時間を過ぎて大変盛り上がったところです。当初の不安はまさに杞憂(きゆう)。同じ岐阜をルーツに持つというだけでこれだけ通じるものがあるんだと、感慨深いものがありました。

 岐阜ゆかりの人との出会いもあれば、岐阜からフランスへの挑戦を見つけることもあります。パリでは飛騨牛を使ったハンバーガーが売っていますし、飛騨版画の作品を見たこともあります。各務原の酒瓶が並ぶレストランもあります。ソムリエがコンクールの決勝で揖斐のお酒を提案したのには驚かされました。

 会員のほとんどはパリ周辺にお住まいの方ですが、フランスの良いところは、花の都パリのみならず、伝統を保った特色豊かな各地方が息づいているところです。県人会初会合には、オンライン開催を生かして東部のアルザス県からも参加がありました。アルザス県は岐阜県と、また県内のコルマール市とリクヴィル村は、高山市、白川村とそれぞれ交流があり、つながりの深い地域です。仏独国境の複雑な歴史の上に、双方の文化の融合が感じられ、また白ワインやビールも有名です。機会をつくってぜひ訪れてみてください。

 その後9月には、パリ市内のビストロで初めて対面での会合を開くことができました。フランス在住の日本人はかつて3万人とも言われており、岐阜にゆかりのある人はもっといるはずです。コロナの状況に応じて今後活動を広げ、在住者と赴任者で協力して長く続く楽しい会にしていきたいと思っています。

◆在仏岐阜県人会幹事 国枝玄さん略歴

 くにえだ・げん 揖斐郡池田町出身、幼少期は飛騨古川でも過ごす。2001年に農林水産省に入省し、主に国内政策を担当。フランス留学、熊本県庁出向などを経て、19年から外務省OECD代表部参事官として2度目のパリ生活中。44歳。

▼メッセージ

 パリは、2年後の2024年のオリンピック・パラリンピックの開催地、もう準備が始まっています。岐阜出身の選手がこの町で大活躍するのをぜひ見たいですね。