放流する鮎を用意する高原川漁協職員ら=飛騨市神岡町船津
高原川に放流されて成長した琵琶湖産鮎㊤と人工産鮎。鱗の大きさに違いが見られる

 岐阜県飛騨市を流れる高原川と宮川で鮎漁のシーズンに向けた鮎の放流が行われている。両河川とも放流する稚鮎の大半は琵琶湖産の天然魚苗。漁場づくりを担う地元の二つの漁業協同組合が「成長がよく、友釣りに掛かりやすい」と口をそろえる鮎だが、琵琶湖での不漁が伝えられており、漁協は注意深く推移を見守っている。

 神通川の上流域に当たる両河川は、昭和20年代後半に下流で大型ダムが建設され、富山湾から鮎が遡上(そじょう)できなくなった。その対策として漁協は電力会社から補償金を受け取り、鮎種苗を購入して放流することで漁場を維持している。

 高原川漁協(飛騨市神岡町)が今年計画する高原川への鮎の放流量は9800キロで内訳は琵琶湖産が8400キロ、県魚苗センター(美濃市)の人工産が1400キロ。19日に今年初めての放流を行い、1匹が10グラムほどの人工産を700キロ放した。

 以前は早い時期に1匹が5グラム程度の琵琶湖産を放流して鮎漁が好調だったこともあるが、30年くらい前から鮎が死んだり弱ったりする冷水病が広がり、放流の在り方が見直された。放流種苗に人工産を加えながら増殖を試し、近年は加温処理という冷水病対策を施した1匹が15グラムほどの琵琶湖産天然種苗を中心に鮎漁解禁の1カ月ほど前から放流している。

 同漁協によると、琵琶湖産鮎は低水温に適応した性質があり、水温が低い時期が長い飛騨北部の川の環境に適している。うろこが小さくて体高があり、縄張りを持つ傾向が強いという。

 同漁協は、琵琶湖周辺の河川のヤナで捕らえた鮎を放流種苗として求めているが、今のところヤナ漁などが不漁で入荷は不透明。鮎の成長に1カ月程度の期間がいることから、同漁協は今季の鮎漁の解禁日を定めておらず、7月初旬と見込む。

 また、宮川下流漁協(飛騨市宮川町)が計画する宮川下流域への鮎の放流量は7800キロで内訳は琵琶湖産が6300キロ、県魚苗センターの人工産が600キロなど。6月18日の解禁に備え、今月11日に放流を始めたが、これまでに琵琶湖産鮎の放流を1度見送った。

 長雨や増水といった釣りには好ましくない状況が近年相次ぐ中、両河川とも鮎漁の遊漁者数は堅調で、中京圏をはじめ首都圏から訪れる人もいる。

 高原川漁協は計画の再検討も行いつつ、「質の高い鮎が放流できるように力を尽くして漁期を迎えたい」とする。琵琶湖の鮎の調査を続ける滋賀県水産試験場は「昨年は産卵数も多く、琵琶湖に鮎はいるが、遡上が遅れているとみている」とした。