猛暑日となった岐阜市。この日は熱中症警戒アラートが出ていた=2日午後1時52分、岐阜市神田町

 暑い日が続く中、最近よく耳にするのが「熱中症警戒アラート」。最高気温が35度以上の猛暑日となった岐阜県内では2日、アラートが発令された。無料通信アプリLINE(ライン)で読者とつながる「岐阜新聞 あなた発!トクダネ取材班」(あなトク)に、「どのような仕組みで発令が決まるのか」といった疑問が寄せられた。岐阜地方気象台や環境省などに聞いて調べてみると、全国屈指の暑さを誇る地域のある岐阜県で、今年に入ってアラートは2回しか出ていないことが分かった。

 熱中症警戒アラートは、昨年4月から気象庁と環境省が発信している、危険な暑さへの注意を呼びかける警戒情報。気温や湿度、輻射熱(ふくしゃねつ)などを基にはじき出す暑さ指数(WBGT)が33以上と予測された場合、午前5時と午後5時の2回、主に都道府県単位で発表される。

 今年のアラート発令数をみると、岐阜県は2回で、愛知県の9回、三重県の13回と比べて少ない。岐阜地方気象台によると、岐阜県は内陸で海からの湿った風が流れず、湿度が上がりにくいことが影響しているという。暑さ指数で最も重視されるのは湿度で、気温が1度高いよりも湿度が1%高い方が影響が大きい。湿度が高いと汗が蒸発しにくく、人間の体温調整に大きく影響するためだ。

 アラートの運用が始まった昨年も岐阜県8回、愛知県21回、三重県17回と岐阜県は少ない。一方で、昨年(6~9月)の熱中症による救急搬送件数(総務省調べ)は岐阜県829人、愛知県2493人、三重県731人と、岐阜県の搬送件数は比較的多い。アラートは予測に基づくため、実際に体感する暑さとは異なり、「あくまでも目安」(環境省)だ。暑さ指数が28以上になると危険性が高まるといい、発令情報を参考に、自分自身の体感温度や体調を見て判断する必要がある。

 アラートが発令された2日の県内は、多治見市と揖斐郡揖斐川町で最高気温が38・8度を記録し全国7番目の暑さ。岐阜市は37・9度で、県内23観測地点のうち15地点で猛暑日となった。