ドリルタイムに熱中する4年生 =山県市東深瀬、富岡小学校
意欲的な活動を繰り広げる新聞 部=同

県NIEアドバイザー・山県市立富岡小教諭 奥田宣子

 山県市立富岡小学校のドリルタイム。静かな教室から鉛筆を走らせる音が聞こえてくるようになった。2学期は、書く力を付けるために、毎日、新聞を活用したドリルタイムにチャレンジしている。視写をしたり、要点をまとめたり、見出しを付けたり、感想を書いたりと、学年に応じて記事の内容と向き合っている。以前、新聞は難しいというイメージをもっていた子も、興味のある内容から新たな発見をしたり、確かめたりすることで事実を知り、自然な形で社会の動きを口にするようになった。

 このドリルタイムの内容は、全国学力学習状況調査と質問紙の結果を受け、新聞を効果的に位置付けたいと考えて、社会の出来事に触れさせながら書くことに特化した。特に「新聞を読む子正答率高く」と、新聞を読む頻度の高い子は、低い子に比べ、全教科で平均正答率が高いという記事が掲載されたこともあり、毎日10分間のドリルタイムに新聞を取り入れ、現在に至っている。

 その結果、次第に自分の思いを書くことに対する抵抗感がなくなり、授業や活動の折に書いてまとめることを楽しみにする子も増えてきた。また、日常的に社会の出来事を口にし、自分たちの生活と社会の動きを結び付けた会話ができるようになってきていることも事実である。継続的に取り組むことで、確実に書くことや新聞に対する意識が高まってきている。

 このように新聞の存在を身近に感じるようになると、1学期に発足した新聞部の活動にも拍車がかかり、全校に向けてのアンケート、取材、データ処理と、子どもたちが積極的に動き始めた。

 記事は「給食ランキング」。インタビューで、給食の秘密を学習した5年生は、1食分に三つのはたらきが全て入っていることに気付き、栄養のバランスについて答えた。データをまとめた6年生源内美則さん(12)は、「アンケートを集計して、低学年の子が、みんなで食べると楽しいと書いていて、全校がそろって食べるランチルームの意味を考えることができた」。インタビュー内容をまとめた大西都瑚さん(12)は、「給食委員会が献立を紹介するとき、5大栄養素につなげている5年生をすごいと思った」。2人は事実をつかんだ上で感想をもった。今木愛眸さん(12)は、「私は書くことが好き。だから、自分たちで考えた新聞が仕上がっていくのが楽しみ。次は、全校のみんなに各学級の自慢を新聞にまとめて紹介する予定」と新聞部としてのやりがいを意欲的に語った。

 富岡小学校では、自慢のノートや自分で書いた足跡を展示する全校ノート展を行っている。字形を意識している文字や何度も推敲(すいこう)した文、普段の授業や家庭学習のノート、そんな中に毎日積み重ねたドリルタイムのファイルも並んだ。人は書くことによって、自分の考えを見つめることができる。書く力にこだわった今、子どもたちの前向きな姿勢を育てつつ、本物の書く力へと導いていきたい。