今はない地名でも、学校名が地域の特徴を伝えている-。宇留生小学校(岐阜県大垣市熊野町)はまさにその典型で、水都・大垣ならではの校名です。

 三つの村が1897(明治30)年に合併して宇留生村となり、改称により宇留生尋常小学校が誕生しました。一方、村は1940(昭和15)年に大垣市に合併したため、地名の「宇留生」はなくなっています。ただ、校名は残っており、地域は今でも「宇留生地区」と呼ばれています。

 由来は、近くの杭瀬川が発する「潤い」のようです。この辺りの地名は変遷していますが、中世の宇留間荘(うるまのしょう)は「潤いのある空間」、そして近世の宇留生は「潤いを生む大地」とするいわれが伝わっています。地域の由緒を校名が伝える現代は、「子どもたちの潤い豊かな情操と知恵を生み、育む地」と読み解きたくなる地名です。

(大垣市地名研究会『水都大垣の地名』などを参照)

 

【答え】うるうしょう