オグリキャップ記念を華麗に逃げ切ったカツゲキキトキト(大畑雅章騎手)
オグリキャップ記念を制覇したカツゲキキトキト
オグリキャップ記念を勝ち、笑顔の大畑雅章騎手
カツゲキキトキトの優勝を喜ぶ関係者

 単勝1.1倍の本命馬は、やはり強かった。「第26回オグリキャップ記念」(SPⅠ、地方全国交流競走)が27日、笠松競馬場で行われ、大畑雅章騎手が騎乗した名古屋のカツゲキキトキト(牡4歳、錦見勇夫厩舎)が鮮やかな逃げ切りで優勝を飾った。カツゲキキトキトは地方重賞10勝目となった。

 2着はアサクサポイント(セン馬9歳、丸野勝虎騎手)で名古屋勢のワン、ツーとなった。高知勢3頭が3~5着を占め、笠松勢はナスノアオバ(牡6歳、森島貴之騎手)が8着、タッチデュール(牝8歳、山下雅之騎手)は10着に終わった。

 コースを2周する2500メートルの長距離戦に、全国のスタミナ自慢10頭が参戦。カツゲキキトキトは押し出される形で先行すると、高知のイッツガナハプン(赤岡修次騎手)を半馬身差で従えて、ゆったりとマイペースの逃げ。2周目の3コーナーからアサクサポイントが手応え良く迫ってきたが、カツゲキキトキトは地力の違いを見せて、1馬身半差をつけて追撃を完封。ゴール前では、愛馬の関係者や馬券を握り締めたファンの歓声に包まれた。

 カツゲキキトキトは父スパイキュール、母レイビスティー(母の父キングカメハメハ)という血統。中央との交流重賞では、昨年12月の名古屋グランプリ(JpnⅡ)で3着、今年3月の名古屋大賞典(JpnⅢ)でも3着と、地方馬最先着を果たしてきた。前走の東海桜花賞(1400メートル)では、兵庫のトウケイタイガーに敗れ、まさかの2着。オグリキャップ記念では、中1週続きの強行軍だったが、得意の長距離戦でしっかりと結果を残した。

 優勝インタビューで大畑騎手は「2500メートルなら負けることはないと思った。先に行く馬がいなかったので、先手を取れればと...。(3、4コーナーでアサクサポイントが迫ってきても)最後は相手が来てからの反応が良かった」と余裕十分。今後は、JRA勢相手に悲願のダートグレード制覇に向けて「ハイッ」と力強かった。

 馬主の野々垣正義さんは、次走について「調教師と相談しながらですが、平安ステークス(GⅢ、5月20日・京都、ダート1900メートル)を予定。強いケイティブレイブ(福永祐一騎手)の胸を借りたいです」と前を向く。ケイティブレイブとは名古屋大賞典で戦い、2馬身差の3着と健闘したカツゲキキトキト。JRAでのレース初挑戦となる平安ステークスで、東海勢の存在感を示したい。順調なら帝王賞(JpnⅠ、6月28日・大井、ダート2000メートル)も視野に入っているようだ。

 カツゲキキトキトは2年前、笠松でデビュー戦を勝利したが、6着に敗れた後、馬体回復のため放牧に出され、名古屋へ移籍した。今となっては「まさかの大活躍」で、スターホースへの階段を上がってきた。昨年4月には、笠松の重賞レース「新緑賞」(3歳オープン)を木之前葵騎手で制覇。「ずっと笠松にいてほしかった」と、複雑な思いもあるが、東海公営所属馬として、さらに飛躍してほしいものだ。

 岐阜県の馬主会にも所属していたという野々垣さんは「カツゲキキトキトはファンに支えられた馬。東海地区以外でも見に来ていただいて盛り上げてほしい」。兄弟子の大畑騎手と木之前騎手が交互に騎乗していた時期もあったが「木之前騎手はまだ若いし、今は先輩の大畑騎手に乗ってもらっている」とのこと。

 「カツゲキ」の冠名には、「劇的に勝つ」という願いを込めたということで、「ドラマが生まれるといい」と、東海や南関東に多くの競走馬を所有。笠松にはかつてカツゲキドラマ(柴田高志厩舎、尾島徹騎手)という期待馬がいた。笠松の2歳最優秀馬に選出され、東京2歳優駿牝馬選定(大井)では4着と好走した。

 「カツゲキ軍団」の勢いは止まらない。カツゲキキトキトの妹カツゲキマドンナ(牝3歳、名古屋)も1月の園田クイーンセレクションを豪快な差し切りで勝利。5月3日の「かきつばた記念(JpnⅢ)」には、カツゲキライデン(牡6歳、名古屋)が出走予定。現在、笠松にはカツゲキエース(牡6歳、後藤正義厩舎)が所属しているが、今後は名古屋だけでなく、笠松からも「カツゲキ」の名が付いたスターホースが誕生するといい。