江戸時代の風情を完治させる建物が今も残る中山道の御嶽宿界わい=可児郡御嵩町御嵩
御嶽宿の古民家を改装した「かしわ屋」。歴史的資源を生かしたまちづくりが始まっている=可児郡御嵩町御嵩
謡坂石畳。江戸時代の旅人も往来した石畳のある街道は外国人観光客の人気を集める=可児郡御嵩町小原
高台に位置する南山公園からは御嵩町の街並みが一望できる=可児郡御嵩町中

 岐阜県可児郡御嵩町には、江戸時代の主要街道の一つ、中山道が東西に横断している。町内には「御嶽宿」「伏見宿」と二つの宿場町があり、文化や歴史を育んできた。格子戸のある町屋が続く街並みは、当時の面影を今に伝え、町散策を楽しむ観光客の姿も見られる。古くから残る中山道の文化を生かし、かつての宿場町のようなにぎわいを生み出そうと、新たなまちづくりの試みも始まっている。

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 御嶽宿では、かつて旅籠(はたご)屋を営んでいた大正時代の町屋が、今年2月に古民家カフェ「かしわ屋」(御嵩町御嵩)となってオープンした。建物の柱やはりなどは当時のままに、和風モダンにリノベーションされた空間では、女性らがランチやカフェを楽しんでいる。カフェを運営するのは「みたけまちづくり株式会社」。亀井和彦社長(54)は「御嶽宿には価値ある古民家が今も残っていて町の大切な財産。その魅力を生かし、御嶽宿一帯を伊勢のおかげ横丁のような、多くの人が訪れるにぎわいのある街並みにしたい」と話す。

 

 2026年には、同じ御嶽宿界隈(かいわい)にある願興寺(同)が、10年がかりで行われていた全面的な解体修理を終える。815年に最澄によって開基された願興寺は町のシンボル的存在であり、町民からは「蟹(かに)薬師」と呼ばれ親しまれてきた。本堂、木造阿弥陀如来坐像など仏像24体は国指定重要文化財でもある。改修後の願興寺には、多くの観光客を呼び込む起爆剤としての期待がかかる。

 かしわ屋は間口6間の大型の町屋で、空き家となっていたものを、この界隈(かいわい)のにぎわい創出に役立てようと08年に町が購入。その後、民間に託され、古民家カフェに生まれ変わった。周囲には同じように古民家が点在しており、食べ歩きのできる店や宿泊施設ができれば、新たな観光客を呼び込めると亀井社長は考える。「活性化やまちづくりに必要なのは民間の力。人の流れを変えるのは容易ではないが、まちづくりがビジネスになることをこの町の取り組みから証明したい」

 町が認定する特産品「みたけのええもん」は、町の文化や歴史に関わる商品も多く、御嵩町ならではの逸品に出合える。「舳五山(へごやま)茶」もその一つ。販売するのは、地元の上之郷中学校(同町中切)。60年以上前から歴代の生徒が地域住民の協力を得ながら茶を栽培してきた。茶葉自体も特産品の認定を受けるが、舳五山茶を使ったクッキーなどの焼き菓子も認定品となっており、町の特産品誕生に地元の子どもたちも関わっている。本年度までに35品が認定を受け、飲食物の「ええもん」以外に、工芸品の「たからもん」がある。グラススタジオ三日月(同町西洞)の「紅白の酒器」は「たからもん」の認定品。手がけるのは移住者の夫婦で、中山道沿いの古民家を改装した工房では吹きガラス体験ができ、新たな観光スポットとして人気を集める。

 最近では、中山道を歩く外国人観光客の姿も増えてきた。御嶽宿から細久手宿(瑞浪市)、大井宿(恵那市)へと続く街道は昔ながらの景色が残るエリアとして、人気のウオーキングコースになっている。名鉄広見線で御嵩駅まで来たら、ウオーキングをスタート。途中にある謡坂(うとうざか)石畳は坂道が長く続く難所だが、往時をしのぶ石畳のある風景が好まれている。石畳を含む3・6キロの区間は国の史跡にも指定されており、11月4日には、御嶽宿から細久手宿の約12キロを歩く「中山道往来(ウオーク)」が行われる(当日参加も可)。新旧の名所巡り、ええもんの味巡りで、観光客の心をつかむこれからの観光に期待がかかる。