今や全国に9千カ所以上ある子ども食堂。県内でも年々数を増やしています。こども家庭庁の目玉施策「こどもの居場所づくり」の担い手としても期待され、支援策が打ち出されていますが、ボランティアを主体とする運営環境は楽ではありません。物価高や米不足など困難に見舞われながらも、日々奮闘する子ども食堂を取材しました。

◆モーニングなら子ども100円

 岐阜市河渡にある「びっくり食堂ナナカフェ」には、連日人々が詰めかけます。その理由は安さ。モーニングならドリンク付きで大人200円、子ども100円、ランチプレートは大人500円、子ども300円です。いずれも栄養バランスの良いおかずにパンの食べ放題などが付いています。「全世代型子ども食堂」を掲げており、誰でも利用OK。最低限の材料費を受け取っていますが、支払いが困難な場合は無料にしています。来店者の3割強が無料でお腹を満たしていくそうです。

 子ども食堂とは主に暮らしに困難を伴う子どもに対し、無料または安価で温かい食事を提供する場です。およそ20年前から注目されるようになりました。運営主体は社会福祉団体や飲食業者、NPO法人などさまざまで、ほぼ民間のボランティア活動として実施されています。近年は子どもや低所得世帯だけでなく、広く地域住民に開放する例も見られます。

 正確な数の把握は難しいものの、岐阜県のまとめでは2024年9月末現在、県内で活動する子ども食堂は169カ所。21年3月末時点では63カ所でしたが、3年半でおよそ2・5倍となりました。

◆店に立つのは50人のボランティア

 ナナカフェがオープンしたのは23年4月。運営する一般社団法人代表の川又新さん(56)は、それまで和食店を営む傍らで子ども食堂を開いていましたが、「やってくる子どもたちにアンケートをとったら、70%の子が朝食を食べていませんでした。...