-昨年を振り返って。

 資材価格や人件費の高騰の影響は深刻で、出店を断念したという話は珍しいものではありません。そこで用地確保から建築会社選びまでをトータルでサポートできる体制をつくろうと、弊社専務で長男の由基が昨年3月に「ちとせリアルティコンサルティング」を立ち上げました。工場や店舗の新設を検討する企業はもちろん、リノベーションや賃貸においても早速さまざまな提案をさせていただいています。ちとせビルグループ間でうまく連携を図りながらニーズに対応していきたい。

 -不動産業界を取り巻く現状は。

 団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」は、不動産においても影響必至です。相続や空き家の問題はこれからさらに増えていくでしょう。地方では不動産を売ったりリノベーションして貸したりすることが簡単ではないため、行政はどう対応していくのか。4月の建築基準法の改正で、小規模建築物については建築確認審査の一部を省略できる「4号特例」が廃止になりますので、ケースによっては予算がかさむことが予想されます。不動産業の過渡期を迎えていますので動向を注視していきたい。

 -今年の抱負を。

 加納産業合資会社から数え、創業100年まであと7年。不動産は人と人とのつながりで動く側面が大きいですし、地域の皆さんに喜んでいただいてこその業態だと日々実感しています。富山県に本社のあるスーパー「アルビス」が3月に本巣郡北方町内にオープンするのですが、こちらは弊社とオリックス不動産名古屋支店とが手を結んで進めているものです。北陸の新鮮な魚介類を扱うスーパーですし楽しみにしていただければ。また、由基が今年1月1日付で岐阜青年会議所の理事長に就任しました。不動産とは違った面からも、人づくり、まちづくりに貢献させていただきたいと考えています。