農林水産省は30日、中小のスーパーや米穀店向けに随意契約で放出する政府備蓄米について、申し込みの受け付けを始めた。計8万トンで、全て2021年産。店頭価格は5キロ当たり税抜きで1800円程度になると想定する。大手の小売業者を対象とした第1弾では店頭に並ぶスピードを重視したが、中小事業者向けへの供給によって販売経路を拡大できるかどうかが課題だ。

 既に備蓄米を調達した大手のうち、スーパーのイトーヨーカ堂は東京都大田区の店舗で、生活用品のアイリスオーヤマ(仙台市)は仙台市と千葉県松戸市の店舗でそれぞれ31日から販売する。いずれも5キロ税込み2160円で店頭に並ぶ。

 小泉進次郎農相は30日の閣議後記者会見で、中小事業者向けの受け付け開始について「できる限り広く、多くの方に備蓄米が届くように新たな随意契約を始める」と述べた。大手は税抜き2千円程度でインターネットや店頭で販売するのに対し、今回はより古い21年産のため割安となる。

 中小事業者向けでは、スーパーに6万トン、米穀店に2万トンを割り振る。