「米国を再び健康に」委員会のイベントに出席するケネディ厚生長官(左)ら=22日、ワシントン(ロイター=共同)

 【ワシントン共同】米紙ワシントン・ポスト電子版は5月31日、存在しない研究が引用されたトランプ政権の報告書の作成に、人工知能(AI)が使われた複数の痕跡があるとの分析を報じた。引用文献がAIを使って収集されたことを示す印や、AIに特徴的なミスが見つかったとしている。ホワイトハウスは29日、報告書の該当部分を訂正すると明らかにした。

 問題となっているのは、ケネディ厚生長官が率いる「米国を再び健康に」委員会がまとめた報告書。米国の子どもの健康状態に関するもので、同紙は500を超える引用文献の妥当性をAIの専門家とともに調べた。

 報告書で引用された「若年層に対する向精神薬の直接広告―高まる懸念」と題した論文は存在しなかった。著者とされる研究者は実在するが、所属先のバージニアコモンウェルス大の担当者は「彼はそのような論文は書いていない」と答えた。

 引用文献が米オープンAIの対話型生成AI「チャットGPT」を使って収集されたことを示す印も複数見つかった。