配達員の酒気帯びの有無を確認する法定点呼業務を適切に実施していなかった日本郵便に対し、国土交通省は5日、バンやトラック約2500台による貨物運送事業の許可を取り消す行政処分案を通知した。許可取り消しは、貨物自動車運送事業法に基づく最も重い行政処分で大手事業者に出るのは極めて異例。5年間は許可の再取得ができず、ゆうパックなどの配送への影響は避けられない見通しとなった。
日本郵便から処分案についての意見を聞く聴聞の手続きを18日、横浜市の国交省関東運輸局で実施する。
日本郵便は「存立に関わる重大な事案。お客さまや事業への影響を精査し、具体的な対応を速やかに検討する」とコメント。林芳正官房長官は5日の記者会見で「輸送の安全の確保を揺るがしかねず、極めて遺憾だ」と述べた。
取り消しの対象は、国の許可を受けて全国の郵便局で営むバンやトラックでの全ての配送事業。日本郵便はこのほか、軽バンなど約3万2千台を届け出制で使用しており、国交省は今後、使用停止などの処分を検討する。