免疫抑制剤による腎障害実験(イメージ)

 免疫が自分の体を攻撃する自己免疫疾患で、治療に使われる免疫抑制剤で問題とされる副作用の急性腎障害は、腎臓細胞の中に“目玉”のような異常な構造ができることが原因だと、徳島大のチームが5日までに米医学誌に発表した。

 副作用を抑えるための酵素も同時に発見し、徳島大の長谷川一宏准教授は「新薬開発への活用が期待でき、さらに患者が安心して治療ができるようになる」と話した。

 自己免疫疾患では合併症として腎臓病が起こることがある。この腎臓病の治療薬である免疫抑制剤「ボクロスポリン」は、症状の進行を遅らせる一方、一部にはかえって急性腎障害を起こす副作用が確認されており、問題となっていた。

 チームは今回、ボクロスポリンを過剰投与して人工的に腎臓病にしたマウスを作成。腎不全による毒素が蓄積されている細胞を調べたところ、代謝をつかさどる細胞小器官の内部が目玉のように黒くなり、異常が起きていることを突き止めた。

 細胞小器官に異常が生じたことでエネルギーが正常に作られず、腎機能に障害が出たと考えられる。