北海道根室市の花咲港で水揚げされるサンマ=2024年

 政府は6日、2024年度版の水産白書を閣議決定した。近年、サンマとサケ、スルメイカが不漁で、3種を合わせた漁獲量は14年の計54万8千トンから23年には計10万7千トンと5分の1にまで激減したと報告。海水温の上昇や海流の変化が背景にあると指摘した。漁業の現場では対象魚種の変更や、新たな市場の開拓で対応を急いでいる。

 例えば、岩手県のサンマ漁船がイワシ向けに、青森県のイカ釣り漁船はスルメイカからアカイカに切り替わったという。

 一方、北海道ではブリの漁獲量が増加。道内ではブリの消費が少なかったが、拡大に向け商品開発が進む。山形県や鳥取県ではサワラのブランド化に取り組んでいる。

 23年の漁業・養殖業の生産量は前年比9万トン減の383万トン。ただ生産額は852億円増の1兆6853億円で、03年以降の最高水準だった。イワシやノリの価格上昇が寄与した。

 白書は、能登半島地震からの復旧動向も紹介した。能登半島北部にある石川県の6市町では24年の漁獲金額が前年比34%減、漁獲量は46%減の水準で回復途上だ。