警視庁

 警察官が身分を偽って犯罪グループに接触する「仮装身分捜査」を活用し、警視庁が5月に詐欺未遂の疑いで特殊詐欺事件の容疑者1人を摘発したことが9日、同庁への取材で分かった。同庁によると、仮装身分捜査を活用した摘発は全国初。闇バイトによる犯罪対策として警察庁が1月に実施要領を策定し、都道府県警の一部で運用を始めていた。

 警視庁によると、交流サイト(SNS)上で犯行の実行役を募集する投稿に対して、同庁の捜査員が架空の身分証を使って応募。首都圏内で特殊詐欺の被害につながり得る事案が分かったため、被害に遭いそうになっている人に警視庁が連絡するとともに、容疑者を5月に摘発した。

 同庁は「犯行グループに対抗措置を講じられる恐れがあり、捜査員の安全を確保する目的から、捜査の詳細は明らかにできない」と説明。仮装身分捜査について「警察側から犯行グループと接触することが可能となった。被害の未然防止と犯人検挙の両面で意義があった」としている。

 同捜査は首都圏で闇バイトによる強盗事件が相次いだのを受け導入された。